工場の新築には数億円規模の投資が必要になることも多く、「補助金を使えないか」と考える企業は少なくありません。ただし、工場の新築で使える補助金は意外と限られています。よく知られている補助金の中にも、建物(工場建屋)の建設費が補助の対象外になっているものがあるためです。
このページでは、工場の新築で活用できる可能性がある国の補助金、自治体の企業立地補助金、税制優遇を整理しました。補助金を使う場合の注意点や、補助事業の期間内に工場を完成させるための工法選びのポイントもあわせて紹介します。
補助金の対象になる経費は、補助金ごとに公募要領で細かく決められています。工場の新築で確認したいのは、「建物費」が補助対象経費に含まれているかどうかです。
たとえば、設備投資の補助金として知られる「ものづくり補助金」は、公募要領で工場建屋の取得費用を対象外としています。新しい工場に導入する機械装置には使えますが、建物そのものの建設費には使えません。同様に、「中小企業省力化投資補助金(一般型)」も、土地・建物・構築物の取得費用を対象外としています。
2026年10月時点で、工場建屋の建設費が対象になる主な制度は以下の通りです。
| 制度名 | 建物費 | 補助上限・補助率など | 主な対象 |
|---|---|---|---|
| 中小企業成長加速化補助金 | 対象 | 上限5億円・補助率1/2 | 売上高10億円以上100億円未満の中小企業 |
| 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 | 新事業進出枠・グローバル枠のみ対象 | 最大9,000万円・補助率1/2〜2/3 | 新市場・高付加価値事業へ進出する中小企業など |
| 大規模成長投資補助金 | 対象 | 上限50億円・補助率1/3以下 | 投資額20億円以上(100億宣言企業は15億円以上)の中堅・中小企業 |
| 自治体の企業立地補助金・奨励金 | 制度により対象 | 投資額の一定割合、固定資産税相当額など | 各自治体で工場を新設・増設する企業 |
| 地域未来投資促進税制(税制) | 対象 | 建物は特別償却20%または税額控除2% | 地域経済牽引事業計画の承認を受けた事業者 |
それぞれの制度について、以下で詳しく見ていきましょう。
売上高100億円を目指す中小企業の大胆な投資を支援する補助金です。工場などの生産施設の建設・増築・改修が「建物費」として補助対象になっています。
2026年10月時点では3次公募が行われており、申請受付は2026年11月12日(木)15:00までです。申請には事前に「100億宣言」の公表が必要で、公表までには一定の期間がかかります。なお、土地代や既存建物の撤去・解体費などは対象外です。
2026年度に始まった補助金で、「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」の3つの枠があります。このうち、新事業進出枠とグローバル枠では、生産施設などの建設・改修が建物費として対象になります。既存事業とは異なる新しい事業のために工場を新築するケースなどで検討できます。
第1回公募の申請受付は2026年10月30日(金)18時までです。革新的新製品・サービス枠は建物費が対象外のため、工場の新築を目的とする場合は申請する枠に注意しましょう。
正式名称は「中堅・中小・スタートアップ企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」です。工場や物流拠点などへの大規模な投資を支援する補助金で、専ら補助事業に使う施設の建設・増築・改修が建物費の対象になります。
直近の第6次公募は2026年8月31日で受付を終えており、採択発表は11月上旬頃の予定とされています。今後の公募は公式サイトで確認しましょう。
都道府県や市町村の多くは、工場の新設・増設を誘致するための補助金や奨励金を設けています。国の補助金と比べると知られていませんが、工場の新築を計画するなら必ず確認したい制度です。制度の内容は自治体ごとに異なり、主に次のような仕組みがあります。
たとえば静岡県の「新規産業立地事業費補助金」は、工場の場合、投資額5億円以上・雇用者1人以上の増加などを要件に、投資額の一定割合を補助しています。仙台市の「製造業立地促進助成金」は、固定資産税・都市計画税相当額の100%を3年間助成し、正社員の新規雇用1人につき60万円を加算する仕組みです。
自治体の制度は、用地取得や着工の前に申請・届出が必要なケースが多い点に注意が必要です。候補地が決まった段階で、自治体の企業立地担当窓口に相談しましょう。
ものづくり補助金や省力化投資補助金は工場建屋には使えませんが、新しい工場に導入する機械装置やシステムの費用で活用できる場合があります。建物は建物費が対象になる補助金や自治体の制度、設備は設備系の補助金というように、投資の内容ごとに使える制度を組み合わせて考えるのが現実的です。
なお、同じ経費に対して複数の国の補助金を重ねて受けることは原則できません。組み合わせを検討する場合は、それぞれの公募要領で重複受給の扱いを確認してください。
また、省エネ設備の導入を支援する補助金の中には、新築の事業所へ新たに導入する設備を対象外としているものもあります。省エネ関連の補助金を検討する場合も、新築が対象になるかを事前に確認しておきましょう。
補助金とあわせて検討したいのが税制優遇です。補助金のような公募・審査による採択はありませんが、それぞれ定められた計画の承認や要件を満たす必要があります。
都道府県知事の承認を受けた「地域経済牽引事業計画」に基づいて設備投資を行う場合に、特別償却または税額控除を受けられる制度です。建物・附属設備・構築物は、特別償却20%または税額控除2%が適用されます(機械装置等は40%または4%、上乗せ要件を満たすと50%または5%)。
中小企業の設備投資を支援する税制ですが、多くの類型では建物本体は対象外です。ただし、売上高100億円を目指す中小企業向けの「経営規模拡大設備」(E類型)では、生産性向上設備の導入に伴う建物の新設・増設も対象になります。適用には投資額などの要件があるため、詳細は手引きで確認しましょう。
補助金では、交付決定前に発注・契約した経費は原則として補助対象外です。設計や施工会社との契約を急いでしまうと、補助金を受けられなくなるおそれがあります。補助金の活用を考えているなら、施工会社にもその旨を早めに伝え、スケジュールを調整しましょう。
補助金は、工事の完了後に実績報告を行い、補助額が確定してから支払われる「精算払い」が基本です。工事代金はいったん自社で支払う必要があるため、金融機関からのつなぎ融資なども含めて資金計画を立てておきましょう。また、確定した補助額が交付決定額を下回る場合もあります。
補助金には、交付決定から事業を完了させるまでの期限(補助事業実施期間)が設けられています。工場の新築では、設計、確認申請、施工、設備の据え付けまでを期間内に終える必要があります。
| 補助金 | 補助事業実施期間 |
|---|---|
| 中小企業成長加速化補助金 | 交付決定日から24か月以内 |
| 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(新事業進出枠・グローバル枠) | 交付決定日から14か月以内 |
特に14か月以内の補助金では、計画に余裕がないと工事の遅れがそのまま補助金の対象外につながります。工期の見通しが立てやすい工法を選ぶことも、補助金を活用するうえでのポイントです。
建物費が対象になる補助金の多くは、事業計画期間中の賃上げを要件としています。目標を達成できなかった場合は、補助金の一部返還を求められることがあります。
また、補助金で取得した建物は、一定期間、補助事業以外の目的での使用や譲渡、担保への提供などが制限されます。将来の用途変更や売却の可能性がある場合は、事前に条件を確認しておきましょう。
補助金を使って工場を新築する場合、工期の短さと見通しの立てやすさは大きなメリットになります。そこで検討したいのが「システム建築」です。
システム建築は、建物を構成する部材を標準化し、設計から部材の生産までをシステム化した建築工法です。部材を工場で生産するため、現場での作業を減らせます。
また、柱のない大空間をつくりやすく、生産ラインのレイアウト変更や将来の設備増強にも対応しやすいのが特徴です。補助金の申請では事業計画の実現性も問われるため、工期とコストの見通しを早い段階で立てられる工法を選ぶことは、計画全体の精度を高めることにもつながります。
工場の新築で補助金を活用するなら、まず建物費が補助対象になる制度かどうかを確認しましょう。2026年10月時点では、中小企業成長加速化補助金、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(新事業進出枠・グローバル枠)、大規模成長投資補助金、自治体の企業立地補助金などが候補になります。
補助金は公募時期や要件が頻繁に変わります。交付決定前に発注しない、補助事業実施期間内に完成させるといったルールもあるため、計画の初期段階から補助金のスケジュールと工期をセットで考えることが大切です。工期の見通しを立てやすい工法として、システム建築もあわせて検討してみてはいかがでしょうか。
※補助金・税制の内容は2026年10月時点の情報です。最新の公募状況や要件は、各制度の公式サイトでご確認ください。
当メディアは、工場建設を効率よく行いたいと考えている製造関連企業に向けて、工場建築に実績のあるシステム建築メーカーの情報を掲載しています。
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組み立て・加工が5工程以上の
複数の製造ラインが分岐・合流・交差するレイアウト設計や振動・騒音対策など設備条件に応じた間取りに対応。
自社開発の基礎・鉄骨を活用し、システム建築の費用感はそのままに加工工場が求める自由度の高い設計を実現。
長尺材や鉄骨の
クレーンやフォークリフトの動線を妨げず、鉄骨や長尺材などの加工・運搬をスムーズに行える。
最大60m級の無柱空間を実現する構造により、大型資材の保管スペースも十分に確保できる。
衛生基準を満たすための
食品・飲料などの製造環境に求められるゾーニングや空調設計、衛生区画の分離に対応。
設計段階からHACCP認証取得を見据えた仕様提案に加え、専門コンサルタントによる運営支援も受けられる。