敷地面積に限りがある場合や、複数の機能を備えた工場を計画している場合は、2階建てタイプのシステム建築を検討するとよいでしょう。限られたスペースを有効活用できるだけでなく、生産性や業務効率の向上につながる構造を計画しやすい点も特徴です。ここでは、2階建てのシステム建築の構造や1階建てとの違い、実際の事例について紹介します。
システム建築は、部材を規格化し、設計・製作・施工の各工程を一体的に管理する工法です。工期やコストの削減に加え、用途に応じた設計の柔軟性を確保しやすい点が特徴です。
2階建てシステム建築は、鉄骨造による構造強度を活かし、上下階に機能を分散させることができます。たとえば、1階に製造ライン、2階に事務所や保管スペースを配置するような設計も可能です。
1階建てのシステム建築と異なり、2階建てのシステム建築では縦の空間をより有効活用できるようになります。1階建てでは広い敷地が必要になる一方で、2階建ては縦の空間を活かすことで、作業動線や設備の配置に柔軟性を持たせることができます。
どういった用途で使用するかによっても必要な設計・構造上の配慮は異なるので、導入を検討する際は、早い段階から専門業者へ相談するのが望ましいでしょう。
「日成VスパンII-S」は、日成ビルド工業株式会社が提供する製品です。本事例は同製品を用いて建築された店舗集合施設で、工場・作業場としての用途で建築されました。延床面積は1246.2平方メートル(377.63坪)です。
日成VスパンII-Sは、日成ビルド工業株式会社が提供する「日成Vスパン-S」の2階建タイプであり、大型の2階建てに対応できることや、空間を有効活用できる特徴を持ちます。
店舗タイプと倉庫タイプの2種類があり、用途に応じて選べます。最大で妻方向15mまでのスパン設計にも対応しています。
本建物は2階建て構造のカスタムタイプで、各階に天井走行クレーンが設置されています。幅13.0m×長19.5m×高12.2mの建物です。
外壁には高断熱なサンドイッチパネルを採用しました。寸法や設計の自由度が高い点を活かし、2階には事務所エリアを設け、吹き抜け構造などの要望にも対応しています。
溶射加工メーカーの依頼により建築された工場で、2階建ての構造です。それまで、職場環境の断熱対策や工場の老朽化、作業・保管スペースの不足などが課題となっていました。
当初は従来工法を検討していましたが、断熱性の高さに注目してシステム建築に変更。特にコスト面でのメリットが大きかった点が採用の決め手となりました。
当メディアでは、システム建築の導入を本格的に検討している製造企業へ向けて、工場建築の実績を持つ信頼性の高いシステム建築メーカーを紹介しています。
また、工場に求められるレイアウト要件や生産ラインの特徴をふまえたうえで、高度な設計対応力を備えた3社を厳選。比較・選定の判断材料として、ぜひご活用ください。
敷地に余裕がない場合には、2階建てのシステム建築が有効な手段の一つとなります。ただ、1階建てと比べて構造設計の複雑さが増すため、早い段階から専門業者と相談しながら検討を進めることが重要です。動線計画、耐震・断熱・防音などの要件を踏まえて提案できる業者に相談するとよいでしょう。
システム建築での工場建設では、レイアウト設計が作業効率や運営に大きな影響を与えます。
柱の位置調整や広さ、衛生区画など、工場特有の要件を満たすためには、設計対応力があり、柔軟な対応ができるメーカー選びが不可欠です。ここでは、特定のレイアウト要件に対応できるシステム建築メーカー3社を厳選し、各社の特徴と強みを詳しく解説します。
複数の製造ラインが分岐・合流・交差するレイアウト設計や振動・騒音対策など設備条件に応じた間取りに対応。
自社開発の基礎・鉄骨を活用し、システム建築の費用感はそのままに加工工場が求める自由度の高い設計を実現。
クレーンやフォークリフトの動線を妨げず、鉄骨や長尺材などの加工・運搬をスムーズに行える。
最大60m級の無柱空間を実現する構造により、大型資材の保管スペースも十分に確保できる。
食品・飲料などの製造環境に求められるゾーニングや空調設計、衛生区画の分離に対応。
設計段階からHACCP認証取得を見据えた仕様提案に加え、専門コンサルタントによる運営支援も受けられる。