集合住宅(アパート・社員寮・宿舎など)の建設に用いられる建築方法の違いを調査。寿命・価格・工期・デザイン・耐久性を比較しています。システム建築を利用した集合住宅の施工事例や集合住宅建設で押さえておくべきポイントも掲載しているので、是非ご覧ください。
| システム建築 | 在来工法 | プレハブ工法 | |
| 寿命 | 重量鉄骨造34年 軽量鉄骨造19~27年 |
鉄骨・鉄筋コンクリート造47年 | 軽量鉄骨造19~27年 木造22年 |
| 価格 | 在来工法の2/3程度 | 高い | 小規模建築物は安価 |
| 工期 | 短期 | 長期(設計によって異なる) | 短期 |
| デザイン | 機能性重視のシンプルデザイン | 外観・内装ともに好みを実現しやすい | 規格化にのっとったデザイン設計 |
| 耐久性 | 重量鉄骨造の場合、プレハブ工法よりも耐久性に優れている | 耐久性を追求できる | 耐久性が低い |
最も耐久性が優れているのは鉄骨・鉄筋コンクリート造の在来工法ですが、費用と工期がネックとなります。予算やスケジュールに余裕がある方は、在来工法を選ぶと良いでしょう。工期に余裕がない場合は、在来工法に引けを取らない重量鉄骨のシステム建築がおすすめです。
システム建築とプレハブ工法は、どちらも工期短縮・コストカットを実現する建築方法。最近では、「プレハブ・システム建築」という商品を提供しているところもあり、明確な違いはありません。
大まかな違いは規格化の範囲。プレハブ工法は建設で使用する部材を規格化、システム建築は部材の製造から使用方法までの一連の流れを明確に規格化しています。そのため、一連の流れが決まっているシステム建築のほうがスムーズな施工や安定した品質を期待できるでしょう。
耐久性・工期短縮・コストカットの3点を実現するシステム建築メーカーをピックアップ。社員寮や宿舎、アパートなどの集合住宅建設を手掛けている「内藤ハウス」「日成ビルド工業」の施工事例をご紹介します。
システム建築とは思えない、ブルー×ホワイトのバイカラーと入口付近のブラウンがお洒落な雰囲気を醸し出している住宅の事例です。内装には木材が使用されていて、優し気な印象に仕上げられています。ボックス型になっているので利便性は高め。1階部分は半分をガレージにして、雨の日にも車の乗り降りがしやすいように作られています。JFEシビルでは断熱性や防音性に優れた材質を取り扱っているため、外の環境に影響されない快適な住空間を叶えられるのも魅力でしょう。
多彩な機能性がある材質や自由度の高いデザインを実現できるスキルを兼ね備えているJFEビル。システム建築の良さである低コストや短工期は叶えつつ、システム建築特有の殺風景さを感じさせない工夫を施してくれます。夢のマイホームはお洒落に決めたい、でもコストはあまりかけられない、という人でも満足できる対応が期待できるでしょう。
製鉄所や製造所の建設を行う会社として1972年に創業して以来、日本だけでなく海外でも実績を積んでいるJFEシビル。その5つの主要事業のうちの一つに、システム建築事業を掲げています。
断熱性の高い「メタルビル」と呼ばれる独自のシステム建築が代表的で、寒冷地における断熱性能は、外気温がマイナスの時に室内気温が15度になるケースもあるほど。その一方で雨や風に対する耐久性も優れているため、九州や沖縄など台風が良く通る地域においても、メタルビルは多数の実績があります。
埼玉県久喜市に建設された社員寮です。布基礎を用いた基礎工事と軽量鉄骨を用いた骨組みにより、従来建築にも劣らない頑丈さを実現。敷地面積700(㎡)に、わずか1か月の工期で2階建て集合住宅を完成させています。
この施工事例で用いられたのは、柱や梁、壁、屋根、建具など、使用するすべての部材を規格化した「カセツ」というシステム建築。部材は環境に優しい再利用素材で作られています。組み立てやすさを計算したうえで規格化されている部材によって、1か月という短い工期が実現しているようです。
低コスト短工期で建築する簡便な住居として適しています。住居建設にあたって予算を抑えたい、作業所併設にしたい、等の要望も実現できる点がメリットでしょう。
50年を超える歴史を持ち、現場の仮設事務所から病院施設、大学など全国に幅広い建築実績を持つ内藤ハウス。建築部材を標準化して工期の短縮を図っていますが、その一方で、設計が画一的にならないように柔軟な対応を行っています。
また、企画から設計、工場での生産から施工までを全て自社で行っているので一連の流れに無駄がなく、より短い工期での建築を実現できるのが特長。また、品質にもこだわっており、ISO9001に基づいた高品質部材を生産しています。
プレハブ建築と在来工法の良さを組み合わせた研修生寮の施工事例です。規格部材で構成された構造体に、建築現場で内装・外装をします。さまざまな外壁建材が選べるので、外観も一般建築と変わりがありません。
システム建築で住居を建てる際には、土地活用の一環としたアパート等の集合住宅の建築に適しているでしょう。複数階層の場合には、外階段や内階段の各タイプや、メゾネットタイプも建築することができます。
全国に38か所の拠点を持ち、システム建築だけでなくプレハブや立体駐車場まで手掛ける日成ビルド工業。最大40mに及ぶ無柱空間を実現し、あわせて建物の軽量化ができる「V-span」というシステム建築の自社ブランドを有しています。
V-spanの大きな特徴でもある軽量化の要は、一般的なロールH鋼の1.38倍の強度を持ちながら、重量を軽くすることに成功した「溶接軽量H鋼」にあります。この部材により、建物の軽量化はもちろん、基礎部分の簡素化や2階建ての建物も実現可能になっています。
当メディアでは、工場建設を考えている製造関連企業向けに工場建築の事例を持つシステム建築メーカーを紹介しています。
さらに、工場に必要なレイアウト要件を整理し、設計対応力を持つシステム建築メーカーを3社厳選。システム建築メーカー選びに迷ったときには、ぜひ参考にしてください。
集合住宅は2階建てになるケースが多いので、建物の寿命を延ばすために基礎工事がしっかりしているシステム建築メーカーに依頼しましょう。また、強度の高い鉄骨を骨組みに使用しているところなら、耐震性も期待できます。一般住宅・集合住宅の安全性を判断する3つの基準をまとめているので、システム建築メーカー選びにお役立てください。
費用や工期、品質などのバランスから、システム建築で建てられることの多い社員寮や寄宿舎。どちらも従業員の居住の場ですが、対象となる法律・規則が異なります。
従業員の共同部屋である寄宿舎は、労働基準法において「事業の付属寄宿舎」にあたります。建設には行政官庁への手続きが必要です。
工事着手の14日前までに届け出を提出。また寄宿舎での取り決めを、事業者だけの判断で決めることはできません。寄宿舎で生活する従業員の同意を得て、寄宿舎規則への署名や記名推印、従業員への周知までを行なう必要があります。
法律による規制がない社員寮。その代わりとして、社内規則が制定されます。独自に規則を制定するのは、従業員間に不平等感を生まないため。
社員寮は福利厚生にあたるため、明確な規定がない状態だと、「利用している従業員だけが手厚い福利厚生を受けている」と、他の従業員からの不満の原因になる恐れがあります。
社員寮を建築する場合は、必ず社内規定を制定しましょう。
床面積154.63(㎡)の社宅です。タイトフレームを使わない、コストパフォーマンスの高い庇用屋根パネルを採用しています。外壁材には、自社工場で成型したガルバリウム鋼板のパネルを使用し、低コストながら意匠性の高さを実現しました。ボードを2枚取り付けているので、防火構造にも対応しています。
黒を基調としたシックで高級感のある集合住宅。床面積は415(㎡)で、広々とした居住スペースが確保されています。外壁・内装を鉄骨パネルに組み合わせることで、従来の工事で必要だった工程を大幅にカット。そのため、コストダウンや短納期に繋げることが可能となりました。また、外壁には不燃材料を採用しており、高い防火性を有する住まいに仕上がっています。
埼玉県久喜市に建てられた、床面積700(㎡)の社員寮。柱や梁、屋根や建具などをすべて規格化し、工場生産しています。そのため、非常に扱いやすく、組み立ても解体も短時間でできるのが特長です。実際に、こちらの社員寮はたったの1か月で完成したそう。外壁のサンドイッチパネルでは、内部に硬質ポリウレタンフォームを挿入しており、高い断熱効果を得られます。
宮城県東松島市に建てられた、床面積779(㎡)の仮設住宅。外壁パネルで柱を覆うことにより、低コストにも関わらず高級感のある雰囲気を演出できます。高度にシステム化されたパネル式外壁工法を採用しているほか、屋根の種類が非常に豊富で、フラットやパラペット、寄棟などから選択可能です。建具はブラウンのアルミサッシがベースとなっているため、外壁も似た色合いで統一感が演出されています。
低層階には重量鉄骨造ラーメン構造を、高層階には軽量鉄骨造ブレース構造を採用し、2階に広々としたスペースを確保した住宅。床面積は155(㎡)ですが、上階が張り出しているため、狭さを感じさせません。地価が高い都心部の狭小地は、こちらの工法を採用することで収益力を高められるでしょう。また外壁のカラーにこだわることで、よりおしゃれな住まいになります。
システム建築での工場建設では、レイアウト設計が作業効率や運営に大きな影響を与えます。
柱の位置調整や広さ、衛生区画など、工場特有の要件を満たすためには、設計対応力があり、柔軟な対応ができるメーカー選びが不可欠です。ここでは、特定のレイアウト要件に対応できるシステム建築メーカー3社を厳選し、各社の特徴と強みを詳しく解説します。
組み立て・加工が5工程以上の
複数の製造ラインが分岐・合流・交差するレイアウト設計や振動・騒音対策など設備条件に応じた間取りに対応。
自社開発の基礎・鉄骨を活用し、システム建築の費用感はそのままに加工工場が求める自由度の高い設計を実現。
長尺材や鉄骨の
クレーンやフォークリフトの動線を妨げず、鉄骨や長尺材などの加工・運搬をスムーズに行える。
最大60m級の無柱空間を実現する構造により、大型資材の保管スペースも十分に確保できる。
衛生基準を満たすための
食品・飲料などの製造環境に求められるゾーニングや空調設計、衛生区画の分離に対応。
設計段階からHACCP認証取得を見据えた仕様提案に加え、専門コンサルタントによる運営支援も受けられる。