システム建築の省エネ設計

2025年に改正建築基準法が施行され、すべての新築建築物に省エネ基準適合が求められるようになりました。ここでは、システム建築の工場省エネについて解説します。

システム建築が工場省エネに強い5つの理由

高断熱パネルで外気温に影響されにくい

高断熱パネルを採用することで、パネルそのものが断熱材の役割を果たして快適な室温を保つことができます。外気温に影響されにくくなるため冷暖房効率が良くなり、使用量を減らせるため省エネにつながる効果が期待できます。

また、断熱材による室温安定は製品や原材料の品質低下リスクも防ぐことができ、従業員にとっても作業環境が良くなるメリットがあります。断熱材を挟んだパネルは遮音性も高く、騒音もカットします。

無柱大スパンによる自然換気・昼光利用

システム建築では建築を構成する部材を標準化し、無柱スパン最大60mもの無柱大空間の実現も可能です。柱のない広い空間を実現することで、レイアウトが自由にできる、作業効率が良くなるというメリットだけでなく、ファンなどの力を使わずに自然の力で空気を入れ替えたり太陽光を取り入れることで昼間は電気を点けずに済んだりなど、省エネにつながります。

軽量化鉄骨で二酸化炭素の排出量削減

システム建築で使用する軽量鉄骨は規格化された部材を使用するため、従来工法と比べて鉄骨の使用量を削減でき鉄骨製造時に排出される二酸化炭素の排出量も減らすことができます。

システム建築で使われるテーパーフレームは従来工法と比較して30~50%ほど軽量化できるとしており、エコになるだけでなく工期の短縮や低コストといったメリットもあります。

標準化×ボルト接合が生む短工期と品質安定

システム建築では現場でのボルト接合を全て標準化しているため、現場で溶接する必要がなく部材点数も最小限に抑えています。これにより工期が短縮化されるため現場でのエネルギー消費を抑えられるだけでなく、作業員負担を軽減する効果が期待できます。短期間で建設ができれば騒音、粉塵などの影響も抑えられます。

将来増設を見据えたモジュール化設計

建物の構成要素を規格化されたモジュールとして設計し、現場で組み立てることができます。モジュール化設計をすることで効率的に断熱材を設置したり高精度な断熱性能・気密性能を実現したりできるため省エネ化しやすくなります。

ちなみに、建築物省エネ法施行前に建築した工場は適用対象外となりますが、増設した場合は増設部分のみ適用対象となります。

新工場に求められる「省エネ義務化」の法的背景

2025年施行の改正された建築物省エネ法では、原則すべての新築住宅、非住宅に省エネ基準適合が義務付けられました。建築物のエネルギー消費量は、日本全体の温室効果ガス排出量の30%ほどになると言われています。建築物を省エネ化することで、脱炭素社会実現をサポートすることが目的です。

今回の改正により、小さな規模の倉庫や工場も対象となったため、建築確認手続きの中で省エネ基準への適合性審査を受けてクリアしなければ着工できなくなっています。設計者や施工者には省エネ基準に対する知識、スキルが求められるため、社内の人材育成や社外の専門家にサポートを受けることが求められます。

まとめ:システム建築は安くて早く建てられるだけじゃない

システム建築は早く低コストで建築できるだけでなく、省エネ対策にも対応することができる工法です。法律が改正されたことで、倉庫や工場を建築する際にも省エネ基準をクリアすることが義務付けられました。

システム建築で生かせる省エネ手段は色々あります。手続きや調整をスムーズに進めるためには専門的な知識を身に付けること、そして適切なサポートを受けることが重要です。

CHECK
システム建築は、
建てたい工場に合った設計が重要!

当メディアでは、システム建築の導入を本格的に検討している製造企業へ向けて、工場建築の実績を持つ信頼性の高いシステム建築メーカーを紹介しています。

また、工場に求められるレイアウト要件や生産ラインの特徴をふまえたうえで、高度な設計対応力を備えた3社を厳選。比較・選定の判断材料として、ぜひご活用ください。

           
レイアウト要件から選ぶ、
システム建築メーカー3選

システム建築での工場建設では、レイアウト設計が作業効率や運営に大きな影響を与えます。
柱の位置調整や広さ、衛生区画など、工場特有の要件を満たすためには、設計対応力があり、柔軟な対応ができるメーカー選びが不可欠です。ここでは、特定のレイアウト要件に対応できるシステム建築メーカー3社を厳選し、各社の特徴と強みを詳しく解説します。

アイコン組み立て・加工が5工程以上の
製造ラインが必要な工場なら
日鉄エンジニアリング
日鉄エンジニアリングのHPキャプチャ画像
引用元:日鉄エンジニアリング公式HP(https://www.eng-steelstructures.com/sp/case/factory/case_19/)

複数の製造ラインが分岐・合流・交差するレイアウト設計や振動・騒音対策など設備条件に応じた間取りに対応。
自社開発の基礎・鉄骨を活用し、システム建築の費用感はそのままに加工工場が求める自由度の高い設計を実現

具体的にはこんな工場に対応
  • 自動車部品製造工場
  • 精密機械加工工場
アイコン長尺材や鉄骨
移動や保管が必要な工場なら
横河システム建築
横河システム建築のHPキャプチャ画像
引用元:横河システム建築公式HP(https://www.yokogawa-yess.co.jp/archives/production/7819)

クレーンやフォークリフトの動線を妨げず、鉄骨や長尺材などの加工・運搬をスムーズに行える。
最大60m級の無柱空間を実現する構造により、大型資材の保管スペースも十分に確保できる。

具体的にはこんな工場に対応
  • 建築資材工場
  • 鉄骨加工工場
アイコン衛生基準を満たすための
ゾーニングが必要な工場なら
大和リース
大和リースのHPキャプチャ画像
引用元:大和リース公式HP(https://www.daiwalease.co.jp/works/prefab/25151)

食品・飲料などの製造環境に求められるゾーニングや空調設計、衛生区画の分離に対応。
設計段階からHACCP認証取得を見据えた仕様提案に加え、専門コンサルタントによる運営支援も受けられる。

具体的にはこんな工場に対応
  • 食品関連工場
  • 飲料製造工場

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