システム建築は合理的でコスト面に優れた工法で、様々な建設に用いられますが、メリットだけではなくデメリットもあります。
使用部材を標準化し、合理的でコスト面にも優れたシステム建築は、デザイン性よりも機能性を重視する工場や倉庫、店舗、物流施設などに適した工法です。この工法を選択するのであれば、まずはメリットとデメリットをしっかり把握しておきましょう。
ここでは、システム建築のメリットとデメリットについて、工法の特徴からわかるポイントについて解説しています。
システム建築は、コンピュータを用いて間取りや使用目的に合わせてスピーディに見積もりを出せます。早いだけではなく、無駄のない低コストであるのが特徴。
標準化した部材を使用するので、通常の建築工法よりも概略設計がしやすく見積もりもサッと出せるのがこの工法の特徴です。工期や予算を抑えた工法を検討している場合はスピーディ対応でおすすめです。
設計ソフトのCADで正確かつスピ―ディに、ニーズに合わせた最適な設計ができます。
システム建築を行う建設会社ではこれまでの建築物のデータを蓄積し、最も標準化した計画や実績を参考にした上でコストを抑えた設計を行います。設計が決定すれば、見積もり、施工図、製作図などをコンピュータにて自動で展開できるのも特徴。
短工期を希望している場合、より経済的に設計したい場合などに大きなメリットとなります。
使用するパーツは全てコンピュータ管理でライン生産するため、熟練工が不要。常に安定して高品質なパーツを使用できます。
現場での生産や加工は運搬に時間やコストがかかったり、生産にバラツキがでるなどリスクがあります。その点、システム建築では工場で部材や部品を生産するので、安定した品質で、しかもコストパフォーマンスに優れています。CADなどのコンピュータによる設計を実現しやすく、現場の状況に合わせて柔軟な対応ができることもメリットの一つです。
建築会社を決める際には、豊富なラインナップが用意されているかを基準に決めると、標準化とはいえ、用途や規模など様々なニーズに合わせられます。
システム建築の特徴は、部材の標準化や施工方法なので、無駄な時間を要することなく短い期間で施工を完了させられます。
コンピュータによる設計や部材の管理などはもちろんですが、現場での施工を省力化するなどスタートの時点から完工までトータルで標準化します。ですから、現場に携わる技術者が不足しがちな近年にも、適した施工方法です。
工場や倉庫など、できるだけ早く準備したい場合などに適しています。
風の強さ、積雪などの環境に合わせた最適な設計ができるため、耐久性に優れた建物が建てられます。また、地震発生の可能性にも備えられるため、他の建築方法にも劣らない優れた耐震性の建物が建てられます。
システム建築が工場や倉庫に最適な工法であることからもわかるように、大型低層の施設に適しています。建物の中に間柱があまり必要ない構造で活用の幅が広がります。
また、増設や併設がしやすいことも特徴。工場や倉庫ではありがちなスペースの拡大に対して、部材の形状や寸法などがシステム化されているため、増築も柔軟に対応できます。低層から集合住宅などにも可能です。
システム建築のデメリットといえば、シンプルな造りでデザイン的に遊んだり、オリジナリティを出したりの自由がないことです。
システム建築はシステム化された部材や設計がメリットですが、このメリットによって機能性や合理性を優先させているため、デザインにはあまりこだわれません。
最近では特徴的な外観にもできるシステム建築が登場しつつありますが、一般的にはいたってシンプルで、よくありがちな見た目になってしまう点が唯一のデメリットです。