印刷工場の新築では、重量のある印刷機を支える床荷重と振動対策、紙の品質を守るための温湿度管理と空調ゾーニング、そして周辺環境に配慮した防音・防臭対策が重要なポイントになります。本ページでは、将来の設備更新や増設も見据えた設計の考え方を整理し、実際の施工例もご紹介しています。新工場プロジェクトの判断材料としてお役立てください。
印刷機は非常に重量が大きく、運転中には微細な振動も発生する設備です。こうした特性を踏まえ、床荷重の確認は設計段階で必須となります。床構造の検討だけでなく、機械基礎、アンカーボルト、配管架台まで一体で設計することが重要です。防振構造を採用することで揺れを抑えれば、印刷品質の安定と周辺環境への影響抑制を両立させられるでしょう。後から補強工事を行った場合、大幅な手戻りとコスト増につながるため、初期設計での十分な検討をおすすめします。
印刷工場では、紙の伸縮やインキの乾燥が温湿度によって大きく変化します。印刷品質を安定させるには、適切な環境制御が欠かせません。一般的な管理目安として、夏季は25℃±2℃、冬季は23℃±2℃、湿度は60%±10%を維持することが推奨されます。ただし、印刷エリア、乾燥エリア、保管エリアではそれぞれ必要な空調負荷が異なるため、ゾーンごとに空調を分ける設計が有効です。温湿度の計測点とセンサーの配置場所も、環境制御の精度を左右する重要な要素となります。
印刷機や搬送設備が発する騒音は、周辺環境への影響を考慮する必要があります。防音構造の採用や吸音材の設置を検討してください。特に夜間操業を予定している場合は、敷地境界での騒音管理が重要になります。また、溶剤を使用する工程ではVOC(揮発性有機化合物)による臭気対策も必須です。局所排気システムと脱臭設備の導入に加え、溶剤保管容器の密封管理を徹底することで、近隣からの苦情発生リスクを大幅に低減できます。
ここでは、印刷工場の実際の施工例を5つご紹介します。貴社の新工場計画における参考資料としてご活用ください。
埼玉県さいたま市に建設された本社社屋を併設した印刷工場です。面積は3,931㎡で、2002年4月に竣工しました。オフィスと工場を一体化することで、コミュニケーションの円滑化や管理効率の向上を実現できる設計。管理機能と生産機能を同一棟にまとめたいという計画に適した好事例です。
福島県須賀川市に建設された印刷工場です。2023年9月に竣工した鉄骨造2階建ての施設で、延床面積は10,629.39㎡、敷地面積は19,904.50㎡と広大な規模を誇ります。来訪者側のファサードは圧迫感を抑えたデザインとし、工場部分はセットバック配置で建物の存在感を軽減。機能性とデザイン性を両立させた注目の事例です。
2001年12月、清水建設が埼玉県に建設した共同印刷川島工場です。白を基調とした外壁に、縦スリット窓とガラス面を配置した特徴的な外観を持つ施設となっています。S造(鉄骨造)5階建(PH1階付き)で、延床面積は14,955㎡。印刷工程を支える大規模な生産拠点として計画された事例です。
埼玉県入間市に建設されたNTT印刷入間工場です。S造地上2階建て。2021年3月に竣工しました。白い外装に搬出入用の庇とスロープを配置し、広々としたヤードを確保。正面のガラス面は事務・管理区画の採光に配慮した設計です。将来の設備更新時における動線整理にも寄与する、実用性の高い計画となっています。
和歌山県に建設されたスクリーン印刷・特殊印刷加工に特化した2016年11月竣工の工場です。建物幅31.0m×長さ43.0mで、横河システム建築のSSルーフとVリブウォールを採用し、コストパフォーマンスと機能性を両立させました。荷捌き用の庇も広く備えています。
当メディアは、工場建設を効率よく行いたいと考えている製造関連企業に向けて、工場建築に実績のあるシステム建築メーカーの情報を掲載しています。
つくりたい工場のレイアウト要件から探せるシステム建築メーカー3選を厳選して紹介していますので、システム建築メーカー選びの参考としてぜひご覧ください。
システム建築での工場建設では、レイアウト設計が作業効率や運営に大きな影響を与えます。
柱の位置調整や広さ、衛生区画など、工場特有の要件を満たすためには、設計対応力があり、柔軟な対応ができるメーカー選びが不可欠です。ここでは、特定のレイアウト要件に対応できるシステム建築メーカー3社を厳選し、各社の特徴と強みを詳しく解説します。
組み立て・加工が5工程以上の
複数の製造ラインが分岐・合流・交差するレイアウト設計や振動・騒音対策など設備条件に応じた間取りに対応。
自社開発の基礎・鉄骨を活用し、システム建築の費用感はそのままに加工工場が求める自由度の高い設計を実現。
長尺材や鉄骨の
クレーンやフォークリフトの動線を妨げず、鉄骨や長尺材などの加工・運搬をスムーズに行える。
最大60m級の無柱空間を実現する構造により、大型資材の保管スペースも十分に確保できる。
衛生基準を満たすための
食品・飲料などの製造環境に求められるゾーニングや空調設計、衛生区画の分離に対応。
設計段階からHACCP認証取得を見据えた仕様提案に加え、専門コンサルタントによる運営支援も受けられる。