システム建築Online 特集『システム建築』最前線

耐久性・耐震性

鉄骨で組まれている建物

建物が低コスト、短工期で建てられるシステム構築。価格や工期は重要な部分ですが、耐震性・耐久性も気になるポイントのひとつです。ここでは、一般的な工場や倉庫の鉄骨造と、システム建築の耐震性・耐久性についてまとめてみました。

鉄骨造の耐震性・耐火性とは?

工場や倉庫を建設する際に多く選ばれている鉄骨造。柱の少ない広いフロアを実現できる点が、工場や倉庫の建設に適しています。そんな鉄骨造の耐震や耐火性はどうなっているのでしょうか。

耐震性

鉄骨造の耐震性に関しては建築基準法で基準が定められているので、どの建築構造でも震度7に耐えるだけの強度はあるといえるでしょう。鉄骨造の建物は折れない鋼材を使用していることから、地震の際に柱が折れて完全崩壊するといった危険性はないといえます。

しかし、鋼材の硬さにはしなやかさがなく全体の重量が重いので、木造建築構造に比べて地震の際に大きな揺れを感じることも。鉄骨造は組み立て作業になるため、接続部分の強度も注意するポイントのひとつです。

耐火性

鉄骨造で使用される鋼材は主に鉄なので、火災によって燃える心配はないといえます。火事は多くの場合、建物そのものが燃えるのではなく家財が燃えて被害が拡大するのです。

鋼材は一定温度までは耐えることができますが、540℃を超えると急激に強度を失う性質があります。そのため、火事が起きたとき消化までに時間がかかってしまうと、強度を失って柱が倒壊するといった危険性も。鉄筋コンクリート構造や鉄骨鉄筋コンクリート構造と比べると、耐火性はやや劣るといえるでしょう。しかし、鉄骨の周りに耐火性に優れた耐火被覆材を補強することで、耐火性を上げることが可能です。

システム建築の耐震性・耐久性は?

システム建築は工期が短いので、耐震性や耐久性に不安を覚える方は多いでしょう。単に安全性を求めるのであれば、材料をふんだんに使用して強度を高めることが可能です。ただし、そうなるとコストがかかってしまいます。システム建築は少ない材料で高い強度の部材開発を行ない、耐震性や耐久性を担保しているのが魅力です。使用する部材を減らすことで、コスト削減にも貢献しています。

また、耐震性や耐久性において部材と部材をつなぐ接合部分も重要です。接合部分がしっかりしていれば、建物の性能が向上します。業者によっては、阪神淡路大震災のときに全く損傷を受けなかったところもあるそうです。部材の強度と接合部分がしっかりしていれば、高い耐震性を実現できます。

業者によって耐震性・耐久性を高める工法は異なるので、確認しましょう。

システム建築の耐用年数

システム建築は、鉄骨の柱や梁、外壁材、屋根材など建築に必要な部材を一貫生産するので、品質にばらつきがありません。

建築部材の品質が統一されることで、耐久性や耐火性に優れた高品質な施工を標準化できるというのがメリットですが、耐用年数の定説がつけやすいのもメリットです。

例えば、鉄筋コンクリート造の耐用年数については、損傷程度の実態調査結果では50年、消耗度合いと実際にしようできる年数の関係から推定される値では117年、コンクリートの中性化終了から推定した値は120年から150年となっています。[注1]

これで見ると、鉄筋コンクリート造の耐用年数には実際値で50年、推定値では150年と実に3倍もの開きがあるので耐用年数の目安がつきづらくなっています。

システム建築の場合は、建築部材の品質が統一されているので、骨格材の厚さが3mm超え4mm以下であれば法定耐用年数27年、4mmを超えるものであれば34年というように明確な年数が定められています。

このように耐用年数の目安が明確なので、先々のメンテナンスコストなども準備しやすいです。

[注1]国土交通省:期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について[pdf]

メンテナンスで老朽化を防ぐ

法的に耐用年数が定められていても、使用状況やメンテナンス状態によっては実際の耐用年数も変わってきます。

クオリティの高いシステム建築であっても、損傷や不具合などを放置していれば劣化が進みますから、その分耐用年数も短くなってしまいます。

長く安定した環境で使い続けるためには、老朽化を進行させないことが重要なので、定期的なメンテナンスをすることが耐用年数を大きく左右することを覚えておきましょう。

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業者別の耐震性対策例

住金システム建築

住金システム建築ではスプリットティー接合を採用しています。規格タイプに使用しているのはノンウェルド工法です。柱脚部と柱梁仕口部にスプリットティー接合を行なうことで、耐震性はもちろん、変形にも耐えられます。

自由設計タイプの場合に使用するのはスプリットティーとスプリットプレートを使ったHTB接合工法です。こちらも溶接ではなくボルトを使用し、耐震性を高めています。

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大和ハウス工業

耐震、免震に力を入れている大和ハウス工業では、主に「D-TEC BRACE」と方丈ダンパーという免震構造を使用しています。「D-TEC BRACE」は、隣り合う柱との間隔が広い建物で効果を発揮します。主に物流施設に使われているのは座屈拘束ブレースです。

方丈ダンパーは地震のエネルギーを吸収して柱と梁にダメージを与えないようにするのが特徴。高力ボルトを使った接合により、耐震性能の高い建築物を提供しています。

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新日鉄住金エンジニアリング

新日鉄エンジニアリングでは、アンボンドブレースを使用することで耐震性を高めています。

アンボンドブレースは、座屈しなくても安定したブレースで、中心鋼材を銅管とモルタルを使用。鋼材とモルタルの間に緩衝材とアンボンド剤を使っているので、銅管とモルタルには軸力が伝わりません。これにより地震の揺れを吸収しています。

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JFEシビル

JFEシビルはKTブレース・二十銅管座屈補剛ブレースと2つの耐震構造を提供しています。

KTブレースは銅管とピン接合部の組み合わせによる、スマートなデザインの耐震構造です。日本建築センターの一般評定を取得しているブレースで、コンパクトながら強い耐震性を持っています。

二十銅管座屈補剛ブレースも、日本建築センターの一般評定を取得しているブレースです。圧縮を受けても座屈せず、力を逃がすのが特徴。繰り返し強い力を受けてもエネルギーを吸収して建物の揺れを最小限に抑えます。

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太陽工業

太陽工業では、システム建築の耐震構造についての詳しい説明を掲載していませんが、建築一般において強い震度まで耐えられる耐震リングを提供しています。

耐震リングは、熱可塑性ポリエステルエラストマーという柔らかい樹脂と一体化しており、耐久性と温度の依存性に優れているのが特徴です。樹脂と一体化しているので、メンテナンスの必要もありません。長い間地震から建築物を守ってくれます。

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丸屋建設

丸屋建設は、yess建築を採用している建築会社です。地震はもちろん、台風、積雪とさまざまな自然災害に耐えられるよう、建築する現場ごとに構造を設計しています。

実際に阪神・淡路大震災、東日本大震災といった大規模の地震でも大きなダメージを受けた建物はなかったそうです。また、yess建築の建物は積雪量が2m以上の豪雪地区でも建設できます。

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