プラスチック製造工場の新設では、生産ラインの動線計画、換気・空調システム、静電気対策など、検討すべき項目が多岐にわたります。本ページでは、システム建築の観点から押さえておきたい要点を整理し、実際の施工例もご紹介しています。これから新工場を計画される方は、将来の増設や設備更新まで見据えた設計の考え方も参考にしてください。
工場の生産性を左右するのが、設備配置と動線設計です。成形機や乾燥機、搬送装置などの配置を計画する際は、「材料投入→成形→検査→出荷」という一連の流れが交差しないよう、動線を整理することが重要です。
作業者とフォークリフトの通路は明確に分離し、金型交換作業に必要なスペースも十分に確保しましょう。また、設備の床荷重に耐えられる構造設計、電源や配管の配置計画を初期段階から同時に検討することで、着工後の手戻りを大幅に減らすことができます。
プラスチック製造工場では、樹脂を加熱する際に発生する臭気やVOC(揮発性有機化合物)への対策が不可欠です。適切な換気計画に加えて、粉じん対策、静電気除去設備の導入も検討しましょう。
品質の安定には、温湿度を一定に保つ空調システムが欠かせません。エリアごとにゾーニングを行い、効率的な環境制御を実現してください。また、危険物や薬品を扱う場合は、専用の保管区画を設けることも重要です。安全面では、火災発生時の延焼防止対策と避難動線を事前に確認し、非常停止ボタンの設置位置を関係者全員で共有しておくことが求められます。
需要変動や新たな品種に対して柔軟に対応できるよう、将来的に生産ラインを増設できる余白スペースや広い柱スパンを確保しておくことをおすすめします。
搬入口やヤード(荷捌きスペース)も、拡張を前提とした広さで計画してください。電源、圧縮空気、冷却水といった主要インフラは、延長しやすい幹線配置にしておくと増設時の改修工事の範囲を大きく抑えられます。また、稼働を止めにくい工程は独立させるなど、工程分離の視点も設計段階で検討しておくと、将来のメンテナンスや改修がスムーズになります。
ここでは、システム建築によるプラスチック製造工場の実例を5つご紹介します。規模や用途、採用された技術など、それぞれ特徴がありますので、貴社の新工場計画の参考にしてください。
岐阜県多治見市に建設された精密プラスチック部品工場です。日鉄エンジニアリングの「スタンパッケージ」を採用し、高い気密性と内外気圧差の管理により、製造環境へのゴミやホコリの侵入抑制を実現。た、室温を一定に保つことで製品品質を安定させ、空調コストは従来の約3分の1にまで削減しています。精密部品を扱う工場にとって、環境制御の重要性を示す注目の事例です。
長野県佐久市に建設された延床面積4,710㎡の鉄骨2階建プラスチック成型工場です。老朽化した本社工場の建替えプロジェクトで、射出成形機の設置と金型の設計・開発・製造に対応した施設となっています。注目すべきは、既存工場を稼働させながら、電気室などの重要設備を残して増築を進めたという点。操業を止めずに工場を刷新できる実践的な建設手法の参考例となります。
前田建設工業が2020年に竣工したベトナム・ビンズオン省VSIP II-A内のグンゼのプラスチック工場で、生産機能と研究開発機能を兼ね備えた施設となっています。白を基調とした外観にガラス張りのエントランスを配置し、広々としたヤードで物流動線をしっかり確保。海外拠点における工場建設の参考事例として注目されます。
平岩建設がベトナム中部フエ省チャンマイ工業団地に建設したNAKAMOTO PACKS VIETNAM向けの工場です。延床面積9,420㎡と大規模な施設で、工場棟は鉄骨1階建、事務所棟は鉄骨2階建の構成となっています。黒い外観デザインと広々とした荷捌きヤードが特徴で、効率的な物流オペレーションを実現しています。
横河システム建築が2024年3月に竣工した熊本県のポリエチレン製排水管製造工場です。建物面積5,093㎡、幅56.15m×長さ72.0m、高さ9.2mの規模を誇ります。カスタムシリーズを採用し、SSルーフとVリブウォールを組み合わせた設計で、駐車場も併設。システム建築の柔軟性を活かした事例として参考になります。
当メディアは、工場建設を効率よく行いたいと考えている製造関連企業に向けて、工場建築に実績のあるシステム建築メーカーの情報を掲載しています。
つくりたい工場のレイアウト要件から探せるシステム建築メーカー3選を厳選して紹介していますので、システム建築メーカー選びの参考としてぜひご覧ください。
システム建築での工場建設では、レイアウト設計が作業効率や運営に大きな影響を与えます。
柱の位置調整や広さ、衛生区画など、工場特有の要件を満たすためには、設計対応力があり、柔軟な対応ができるメーカー選びが不可欠です。ここでは、特定のレイアウト要件に対応できるシステム建築メーカー3社を厳選し、各社の特徴と強みを詳しく解説します。
組み立て・加工が5工程以上の
複数の製造ラインが分岐・合流・交差するレイアウト設計や振動・騒音対策など設備条件に応じた間取りに対応。
自社開発の基礎・鉄骨を活用し、システム建築の費用感はそのままに加工工場が求める自由度の高い設計を実現。
長尺材や鉄骨の
クレーンやフォークリフトの動線を妨げず、鉄骨や長尺材などの加工・運搬をスムーズに行える。
最大60m級の無柱空間を実現する構造により、大型資材の保管スペースも十分に確保できる。
衛生基準を満たすための
食品・飲料などの製造環境に求められるゾーニングや空調設計、衛生区画の分離に対応。
設計段階からHACCP認証取得を見据えた仕様提案に加え、専門コンサルタントによる運営支援も受けられる。