システム建築の断熱・遮熱性能

システム建築は価格や工期にメリットがありますが、断熱や遮熱性能はどうなっているのでしょうか。近年、夏の熱さが厳しくなっていることで熱中症による体調不良を起こすだけでなく、死亡者が出ている状況もあり、工場でも対策が求められています。ここでは、システム建築の遮熱、断熱の必要性などについて解説します。

遮熱とは?断熱との違いとシステム建築に求められる理由

「遮熱」の基本概念:反射・遮断・放熱の3ステップ

「遮熱」とは、太陽光・放射熱を跳ね返すものです。建築物においては、屋外からの熱の侵入をブロックすることで室温上昇を防ぐ役割を持ちます。

遮熱は、反射・遮断・放熱の3ステップにより熱の侵入を防いでいます。太陽光をアルミ素材などで反射させ、空気層や素材構造により熱伝導を遮断します。これにより、熱が内部にこもることなく外部へ放熱して温度上昇を抑えることに繋がるのです。

「断熱」との違い:季節別の使いどころと組合せ効果

「遮熱」と似た言葉に「断熱」があります。どちらも熱の移動を抑えるものですが、遮熱は「熱を入れないもの」で、断熱は熱の流れを制限して「熱が外に出ないようにするもの」です。

  • 遮熱:暑さのみをカットするため冬の寒さには効果がなく、夏に向いている
  • 断熱:冷たい空気、あたたかい空気どちらも熱の移動を防ぐため、夏も冬も効果が期待できる

また、遮熱と断熱は使われている部材にも違いがあります。

  • 遮熱:屋根、壁の表面や内側
  • 断熱:壁の内側や天井などの内部構造

工場における「遮熱」の必要性

熱中症による死亡災害が増えていることを考え、2025年6月1日に改正労働安全衛生規則が施行され、現場でも死亡・重篤化させないために職場における熱中症対策が義務化されました。遮熱を行うことは太陽光を反射して室内の温度上昇を防ぐことに繋がります。従業員の健康を守るだけでなく、作業効率アップや労働環境改善になりますし、室温が一定に保てれば光熱費削減にもつながります。

室温が高くなりすぎると製造した製品、商品に影響が出て中身が溶ける、変色など品質低下が起こる恐れもあります。精密機器は故障リスクもあるため、工場で遮熱を行うことは非常に重要なのです。

※参照元:厚生労働省【PDF】(https://www.mhlw.go.jp/content/001476821.pdf)

システム建築における遮熱・断熱の手法

屋根断熱材

屋根の断熱材としては、グラスウール断熱マットをすき間なく敷き詰めることで断熱効果はもちろん結露防止効果も期待できます。屋根用の断熱材を設置することで冷暖房効率もアップします。

屋根パネルとグラスウールマットを組み合わせることにより低コストながらALCの2~3倍もの高い断熱性能が期待できます。用途やグレードに応じて屋根断熱材のタイプが選べることもあります。

遮熱シート

遮熱塗装や遮熱シートを設置することにより、太陽からの熱を反射することができます。このとき、施工方法としては屋根に直接貼り付けるだけでなく、金具を取り付けて施工したり新しい屋根をかぶせるときに施工したりする方法もあります。屋根に負担をかけないようにするために、屋内側から柱や梁に遮熱シートを取り付けることもできます。

まとめ:気温の変化に負けない工場を

熱中症対策が義務化され、企業がどのように対策を行っているかについて国の目も厳しいものになっています。夏の気温変化は近年著しいものがあり、予想を上回るものになっているため対策が取れていなければ働く従業員だけでなく製品品質にも影響を及ぼす恐れもあります。

システム建築を活用して低コストで抑えることは大切ですが、断熱材や遮熱シートなどを活用してしっかりと熱対策を行った工場にすることが大切です。

CHECK
システム建築は、
建てたい工場に合った設計が重要!

当メディアでは、システム建築の導入を本格的に検討している製造企業へ向けて、工場建築の実績を持つ信頼性の高いシステム建築メーカーを紹介しています。

また、工場に求められるレイアウト要件や生産ラインの特徴をふまえたうえで、高度な設計対応力を備えた3社を厳選。比較・選定の判断材料として、ぜひご活用ください。

           
レイアウト要件から選ぶ、
システム建築メーカー3選

システム建築での工場建設では、レイアウト設計が作業効率や運営に大きな影響を与えます。
柱の位置調整や広さ、衛生区画など、工場特有の要件を満たすためには、設計対応力があり、柔軟な対応ができるメーカー選びが不可欠です。ここでは、特定のレイアウト要件に対応できるシステム建築メーカー3社を厳選し、各社の特徴と強みを詳しく解説します。

アイコン組み立て・加工が5工程以上の
製造ラインが必要な工場なら
日鉄エンジニアリング
日鉄エンジニアリングのHPキャプチャ画像
引用元:日鉄エンジニアリング公式HP(https://www.eng-steelstructures.com/sp/case/factory/case_19/)

複数の製造ラインが分岐・合流・交差するレイアウト設計や振動・騒音対策など設備条件に応じた間取りに対応。
自社開発の基礎・鉄骨を活用し、システム建築の費用感はそのままに加工工場が求める自由度の高い設計を実現

具体的にはこんな工場に対応
  • 自動車部品製造工場
  • 精密機械加工工場
アイコン長尺材や鉄骨
移動や保管が必要な工場なら
横河システム建築
横河システム建築のHPキャプチャ画像
引用元:横河システム建築公式HP(https://www.yokogawa-yess.co.jp/archives/production/7819)

クレーンやフォークリフトの動線を妨げず、鉄骨や長尺材などの加工・運搬をスムーズに行える。
最大60m級の無柱空間を実現する構造により、大型資材の保管スペースも十分に確保できる。

具体的にはこんな工場に対応
  • 建築資材工場
  • 鉄骨加工工場
アイコン衛生基準を満たすための
ゾーニングが必要な工場なら
大和リース
大和リースのHPキャプチャ画像
引用元:大和リース公式HP(https://www.daiwalease.co.jp/works/prefab/25151)

食品・飲料などの製造環境に求められるゾーニングや空調設計、衛生区画の分離に対応。
設計段階からHACCP認証取得を見据えた仕様提案に加え、専門コンサルタントによる運営支援も受けられる。

具体的にはこんな工場に対応
  • 食品関連工場
  • 飲料製造工場

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