半導体工場の建設を検討している会社・担当者に向けて、知っておきたいポイントを解説します。半導体工場では、清浄度の高いクリーンルームと製造装置の荷重・振動条件が、建屋そのものの仕様を左右します。システム建築による施工例も紹介しているため、参考にしてください。
半導体工場の立地は、水・輸送・産業集積の3点から絞り込みます。ウエハーの洗浄をはじめとする前工程では大量の水を使うため、良質な水源を安定して確保できるかどうかが、敷地選定の前提条件になります。あわせて、製品や装置を運ぶ幹線道路や空港、港湾へのアクセス、周辺に半導体関連の企業が集積しているかどうかも判断材料になります。
敷地が決まってから建屋の計画に入ると、必要な受電容量や用水量に敷地条件が追いつかないことがあります。建築計画と並行して、インフラの引き込み条件を早い段階で確認しておくと手戻りを抑えられます。
クリーンルームは、建屋の階高と床の仕様を先に決めておく必要があります。天井にフィルタを敷き詰め、床下から吸気する方式を採る場合、天井チャンバーと床下チャンバーの分だけ階高を積み増す必要があり、一般的な工場よりも建物高さが大きくなります。床は装置を据え付けるための平滑度と耐荷重に加えて、帯電防止の仕上げが求められることもあります。
クリーンルームの建設費は、面積だけでは決まりません。必要な清浄度、空調方式、温湿度条件、天井高、床仕様、設備密度といった条件の組み合わせで変動します。どこまでの清浄度を、どの範囲に確保するのかを早い段階で固めておくことが、コストを見通すうえで重要です。
半導体の製造装置は、重量と精度の両方が建屋に条件を課します。露光や検査に関わる装置ほど、床の耐荷重と平滑度、そして許容できる振動の条件が厳しくなり、一般的な工場の床仕様では対応できない場合があります。装置の据付位置が決まる前に、想定される荷重の範囲を構造設計へ反映しておくことが必要です。
振動については、屋外の交通振動や近隣の設備振動といった外部要因と、工場内の空調機・ポンプなどの内部要因を分けて考えます。振動源となる設備を生産エリアから離す配置計画は、建屋の平面計画そのものに関わります。
装置の搬入経路も、建屋の設計段階で押さえておきたい要素です。大型装置は分解できないものもあるため、搬入口の寸法、通路の有効幅、天井までの高さを装置寸法から逆算しておくと、竣工後の追加工事を避けられます。
半導体工場は、生産エリアと同等かそれ以上の面積を付帯設備が占めることがあります。純水の製造装置、特殊ガスの供給設備、薬液の供給と回収、排気処理、排水処理、そして受変電設備。これらをどこに置き、どう配管・配線を通すかは、建屋の平面計画と階高に直結します。
さらに、半導体の製造装置は世代交代の周期が短く、稼働後に装置を入れ替える前提で計画する必要があります。配管・配線ルートに余裕を持たせ、付帯棟を増築できる敷地の余白を残しておくと、将来の更新に対応しやすくなります。柱の位置や梁の高さを要件に合わせて調整できるシステム建築であれば、こうした将来の変更を織り込んだ架構を計画しやすくなります。
東京都小平市に建てられた電子部品製造工場。日鉄エンジニアリングのシステム建築「スタンパッケージ」を採用した事例で、2005年11月に竣工しています。同社は基礎構造と鉄骨を自社で開発しており、建物の大きさ・高さ・柱間隔を要望に応じて調整できる点を特徴として挙げています。
光学単結晶をはじめとする素材の切削・研削・研磨・超精密加工を手掛ける会社の工場。建物幅24.3m、長さ45.0m、高さ8.2mのシステム建築で、2018年2月に竣工しました。手前側の事務所エリアを2階建てとし、加工エリアと管理エリアを同じ建物に納めています。
当メディアは、工場建設を効率よく行いたいと考えている製造関連企業に向けて、工場建築に実績のあるシステム建築メーカーの情報を掲載しています。
つくりたい工場のレイアウト要件から探せるシステム建築メーカー3選を厳選して紹介していますので、システム建築メーカー選びの参考としてぜひご覧ください。
システム建築での工場建設では、レイアウト設計が作業効率や運営に大きな影響を与えます。
柱の位置調整や広さ、衛生区画など、工場特有の要件を満たすためには、設計対応力があり、柔軟な対応ができるメーカー選びが不可欠です。ここでは、特定のレイアウト要件に対応できるシステム建築メーカー3社を厳選し、各社の特徴と強みを詳しく解説します。
組み立て・加工が5工程以上の
複数の製造ラインが分岐・合流・交差するレイアウト設計や振動・騒音対策など設備条件に応じた間取りに対応。
自社開発の基礎・鉄骨を活用し、システム建築の費用感はそのままに加工工場が求める自由度の高い設計を実現。
長尺材や鉄骨の
クレーンやフォークリフトの動線を妨げず、鉄骨や長尺材などの加工・運搬をスムーズに行える。
最大60m級の無柱空間を実現する構造により、大型資材の保管スペースも十分に確保できる。
衛生基準を満たすための
食品・飲料などの製造環境に求められるゾーニングや空調設計、衛生区画の分離に対応。
設計段階からHACCP認証取得を見据えた仕様提案に加え、専門コンサルタントによる運営支援も受けられる。