天井クレーンを備えた工場を新たに建設する際は、クレーンの荷重を支える構造・基礎はもちろん、揚重作業を効率化する無柱空間や天井高、そして安全運用と法対応までを見据えた計画が求められます。この記事では、天井クレーンを設置する工場を建設するうえで押さえておきたいポイントを、構造/基礎・空間設計・安全/法対応の3つの視点から解説します。
天井クレーンを設置する工場では、吊り荷重や走行時の水平力がクレーンガーダーや柱・基礎に繰り返し作用します。そのため、想定するクレーン容量に応じた柱・梁・基礎の耐力確保が最優先です。クレーンブラケットやランウェイガーダーを含めた一体的な構造設計を行うことで、たわみや振動を抑え、長期的に安定した運用が可能になります。
クレーンの可動範囲と吊り上げ高さは、工場の生産性に直結します。中間柱のない大スパンと十分な天井高を確保することで、大型材料や製品をスムーズに移動でき、レイアウトの自由度も高まります。システム建築は大スパンの無柱空間を得意としており、クレーン走行を妨げない架構を効率的に実現できます。
天井クレーンは、つり上げ荷重3t以上の場合は労働安全衛生法に基づく設置届と落成検査、0.5t以上3t未満の場合は設置報告書の提出が必要です。設置前の届出と定期自主検査の体制を計画段階から織り込むことが欠かせません。あわせて点検・メンテナンスのための動線や安全通路を確保し、稼働中の安全を担保します。
日鉄エンジニアリングのシステム建築「スタンパッケージ」で建設された機器製造工場で、2018年4月に竣工した施工実績です。大荷重に対応した8の字形の基礎システム(SPWパックFD/FP)を採用し、重量物や天井走行クレーンの荷重にも対応できる構造となっています。スタンパッケージは天井走行クレーンにも対応しており、クレーンブラケット・ガーターにはH形鋼が用いられます。
無柱スパン20.0m×奥行66.0m、建物高8.7mの室内無柱構造の工場で、2015年2月に竣工しました。4.8tの天井走行クレーンが3基配置され、鉄骨主柱の間隔はすべて6.0m仕様。大型の厚鋼板をクレーンで効率的に取り回せる大空間を実現しています。
CASE2の印西工場と同一敷地に建設された増築棟で、2018年6月に竣工しました。間口15.4m×奥行52.0mの無柱構造に2.8tの天井走行クレーンを配置。主柱の間隔を6.1〜7.1mと変化させ、作業内容に合わせた架構としています。
造船業を営む佐伯重工の工場で、2011年11月に竣工しました。大型の鋼構造物を扱う造船工場では天井クレーンによる揚重が欠かせず、3,696㎡の無柱大空間がクレーン運用と重量物の取り回しを支えています。
鉄鋼製品・部品加工を手掛ける小谷製作所の本江北工場で、2007年8月に竣工しました。3,130㎡の大空間は重量のある鉄鋼部品の加工・搬送に適しており、天井クレーンを活用した工程運用にも対応できる構造です。
当メディアは、工場建設を効率よく行いたいと考えている製造関連企業に向けて、工場建築に実績のあるシステム建築メーカーの情報を掲載しています。
つくりたい工場のレイアウト要件から探せるシステム建築メーカー3選を厳選して紹介していますので、システム建築メーカー選びの参考としてぜひご覧ください。
システム建築での工場建設では、レイアウト設計が作業効率や運営に大きな影響を与えます。
柱の位置調整や広さ、衛生区画など、工場特有の要件を満たすためには、設計対応力があり、柔軟な対応ができるメーカー選びが不可欠です。ここでは、特定のレイアウト要件に対応できるシステム建築メーカー3社を厳選し、各社の特徴と強みを詳しく解説します。
組み立て・加工が5工程以上の
複数の製造ラインが分岐・合流・交差するレイアウト設計や振動・騒音対策など設備条件に応じた間取りに対応。
自社開発の基礎・鉄骨を活用し、システム建築の費用感はそのままに加工工場が求める自由度の高い設計を実現。
長尺材や鉄骨の
クレーンやフォークリフトの動線を妨げず、鉄骨や長尺材などの加工・運搬をスムーズに行える。
最大60m級の無柱空間を実現する構造により、大型資材の保管スペースも十分に確保できる。
衛生基準を満たすための
食品・飲料などの製造環境に求められるゾーニングや空調設計、衛生区画の分離に対応。
設計段階からHACCP認証取得を見据えた仕様提案に加え、専門コンサルタントによる運営支援も受けられる。