近年マーケットで注目されているシステム建築について、関連するトピックなニュースをネット上からピックアップしてみました。
世界的な知名度を誇る調査・コンサルティング会社のMarketsandMarkets(マーケッツアンドマーケッツ)が発行した「システム建築の世界市場予測(~2024年)」という市場調査レポートが日本でも販売されています。この調査資料から、システム建築の市場予約に関する記述を一部抜粋します。
システム建築の世界市場は、2019年の145億米ドルから2024年には250億米ドルに達し、この期間中11.5%の年平均成長率で成長すると予測されています。
この市場の成長を促す要因として、環境に配慮した建物に対する需要の増加、および軽量の建築構造物に対する需要に伴う建設時間およびコスト削減の必要性が考えられます。(後略)
この調査によると、システム建築のニーズが拡大しているのはその合理性だけでなく、エコロジー対策という側面もあることがわかります。
自動車用部品メーカーである九州シロキが、新工場建設にあたってシステム建築商品を採用した事例を紹介します。
(前略)新日鉄住金エンジニアリングのシステム建築商品「スタンパッケージR」を採用し、将来のレイアウト変更や増築を考慮した構造を計画。操業スペースの空調化や、荷さばきスペースの屋内化により、作業環境の安全性を高めた。
日本の主力産業である自動車業界でも、国内生産ラインの合理化にシステム建築が一役買っているわけです。
北海道室蘭市で昭和10年から活動を続けている橋梁・機鉄メーカー楢崎製作所がシステム建築事業に参入。農業法人のカボチャ保管用倉庫を最初の案件として受注しています。
(前略)楢崎製作所は、グループ会社で国内最大手の横河システム建築(千葉)に柱や梁(はり)を供給してきた。昨年6月に横河ブランドである「yess建築」ビルダーに加盟。通常は建屋と別発注の基礎工事も含め、設計、部材製作、外構工事まで一括で受注・施工できる態勢をとり、事業の柱に育てる考えだ。
システム建築は、資材高騰や人手不足を背景に、在来工法よりも安価で短期間に建築可能な工法として需要が高まっている。同社は「道内のシステム建築のマーケットは伸びる見通しがある。一括施工できるメリットを生かし、事業を広げていきたい」と話している。(後略)
歴史ある企業が新規参入するのも、システム建築には新たなビジネスチャンスの芽があるからなのかもしれません。
世界で初めて、赤外線センサーを応用した自動ドアを開発したオプテックス。自動ドアセンサー市場では国内シェア率50%以上、世界でも30%のシェア率を誇ります。そのオプテックスが工場・倉庫の出入口に使用するシャッターセンサーを開発。2019年6月より販売を開始しました。
シャッターの開放時間を短縮して建物内部の環境を保全。また車両とシャッターの接触事故を防ぐ「複数エリア検出時無限静止機能」が搭載されており、安全性も高めることができます。
オプテックス株式会社(本社:滋賀県大津市、代表取締役社長:上村 透、以下「オプテックス」は、工場や倉庫の出入口に使用するシートシャッター開閉用のシャッターセンサー「OAM-EXPLORER」を6月より発売開始し、シャッターセンサーのラインアップを拡充します。
フォークリフトや作業者を確実に素早く検出し、スムースで安全なシャッターの開閉と、スマートフォンによる現場でのセンサー設置の円滑化を図り、作業効率の向上をサポートします。(後略)
自動ドアなどのセンサー市場を牽引し、2009年から常に右肩上がりの売上高成長を遂げてきたオプテックスが次に目を向けたのが、工場・倉庫などのシャッター市場でした。それだけ工場・倉庫の「建物内の環境を保全すること」「工場・倉庫などでの事故を防止すること」が重要視されているということ。
部材と工程が規格化され、一定の品質と安全が確保されているシステム建築のニーズが拡大しているのも当然と言えるかもしれません。
次は、イギリスにある倉庫で起きた事故に関するニュースを紹介します。安全性を確保が重要だと改めて思い知らされる事例です。
フォークリフトがチーズの保管庫の棚にぶつかったが為にとんでもない大惨事を招いた。
巨大なチーズ保管庫で作業している人たちの映像では、奥からフォークリフトが近づいてきて、手前の作業員を避けるように移動するも、その際に操作を誤ってしまい棚にぶつけてしまったのだ。それが切っ掛けで保管庫の大量のチーズが雪崩式に崩れて、奥の棚などもドミノのようにほぼ全壊。(中略)
とてもフォークリフトがぶつかっただけが原因とは思えない崩壊っぷりだ。
フォークリフトの接触でこれほどの大きな被害が出てしまった原因はまだ不明とのこと。棚の耐荷重を超えていたのか、そもそも棚の構造に問題があったのではと疑問視する声も上げられています。
今回の事故では幸いにも全員が無事救助されたそうですが、こうった重大な事故を招かないためにも、構造的に問題のない倉庫・工場を建築することは事業者の責務。そういった面でも、部材と工程が規格化されているシステム建築が適しています。
2019年7月23日、東京・品川区のスリーエムジャパン本社にて新製品発表会が開催されました。注目の新商品は、なんと内装パネルの施工を両面テープだけで可能にする「3M VHB テープ Y-4800-12建築パネル仕上げ用」とのことです。
3M VHB テープ Y-4800-12建築パネル仕上げ用を使用するメリットについて、スリーエム ジャパン テープ・接着剤製品事業部 マーケティング部・桑名勇輔氏は、「施工時間の短縮」「施工管理の簡易化」「作業者の負担軽減」の3つを挙げた。(中略)
3Mではグローバルで3万棟の実績がある接合材を強みに、施工時間の短縮や施工管理の簡易化、作業者の負担軽減で、こうした課題の解決を図っていく」と、これまでにない形での市場参入の意義を示した。
引用元:BUILT
https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/1907/24/news043.html
近年では技能工の高齢化が進み、彼らが現役を退くことで一気に担い手がいなくなってしまうと予想されます。そのため、1人の職人がいくつもの施工を担う「多能工化」が求められる時代がやって来ます。
そんなとき、より簡単で素早い作業が可能となる今回の商品は、人手不足の解消や工期の短縮に一役買ってくれるでしょう。
建設資材の不足や価格高騰、人手不足などの問題が深刻化している建設業界。そんななか、これらの課題を解決すると期待されているのがシステム建築です。とくに「yess建築」は、新たな「スタンダード」として各企業からの注目を集めています。
工場や倉庫などの建築需要は伸びているにもかかわらず、地方の建設会社はその機会を獲得できていないのではないだろうか。逆に言えば、「yess建築」という「新たなスタンダード」に取り組むことで、地域の中堅中小の建設会社の競争力が向上し、生き残りにもつながるだろう。
近年注目を集めるyess建築ですが、在来工法に比べれば比較的新しい技術なだけに、地方ではまだその存在を知らない人も多いのが現状。知名度はまだまだ物足りず、建築業界全体の課題を解決するには、yess建築の魅力を最大限に伝え、真に新たな「スタンダード」となるよう周知していかなければなりません。
そういった考えから、yess建築を開発・提供している「横河システム建築」では地方のビルダーに対する積極的な支援を実施。提案営業をサポートする取り組みや、「yessビルダーズネット」の構築、「yess見積3D」の開発など、さまざまな活動を行っているそうです。
スターツグループのシンクタンクである株式会社スターツ総合研究所が、短時間で賃貸住宅の建築計画および事業計画を自動作成するシステムを開発。土地所有者や不動産投資家へのタイムリーな提案が可能になると同時に、システム利用者にとっては業務の省力・迅速化による生産性の向上が実現できるでしょう。
本システム「LAPLACE」(開発コードネーム)は、NTT空間情報株式会社(代表取締役社長:猪瀬 崇)、株式会社コンピュータシステム研究所(代表取締役社長:長尾良幸)、応用地質株式会社(代表取締役社長:成田 賢)の協力、並びに不動産統計学の第一人者である日本大学 清水千弘教授による監修のもと、地図データベース、設計エンジン、3次元地盤モデルデータといった協力各社がもつリソースと、スターツ独自のビッグデータからAIが導き出した情報をAPI※連携させる、オープンイノベーティブな発想から生まれた新しいソリューションです。
引用元:STARTS(スターツ)
https://www.starts.co.jp/pressrelease/pressDetail.php?pressID=6180
スターツは今後も不動産・建築ビッグデータと外部リソースの連携を積極的に行い、テクノロジーを用いた不動産・建築・金融の横断、不動産・建築情報の可視化と透明性の向上に努めていくと発表しています。システム建築にも新たな風が吹くかもしれません。
スターツグループのシンクタンクである株式会社スターツ総合研究所が、短時間で賃貸住宅の建築計画および事業計画を自動作成するシステムを開発。土地所有者や不動産投資家へのタイムリーな提案が可能になると同時に、システム利用者にとっては業務の省力・迅速化による生産性の向上が実現できるでしょう。
小原建設では、県内でも最も早い2010 年から、工事現場において積極的に3次元化技術を取り入れ、県内最多の12 現場のICT 活用工事を実施しています
AEROBO マーカーを自社製品と組み合わせ使用することで、従来は実現できていなかった、UAV 測量の完全内製化が実現できます。従来の枠組みにとらわれず、ICT を積極的に取り入れ、数々の実績を誇る小原建設の各地の現場は、東北地方のICT 施工現場のモデルとなっています。(後略)
引用元:エアロセンス株式会社
http://www.aerosense.co.jp/pressitems/2018/8/29-kwhlz-7zp77
AEROBOマーカーの精度は非常によく、出力もスピーディー。さらに、準天頂衛星システムができれば、より高精度になることが期待されます。システム建築との相性も良さそうで、ICTとシステム建築をつなぐ一歩となるかもしれません。