システム建築Online 特集『システム建築』最前線

倉庫

倉庫のイメージ

倉庫の建設に利用されているシステム建築や在来工法、プレハブ工法、テント倉庫の4種類をピックアップし、寿命・価格・工期・デザイン・耐久性の5点をもとに比較しました。それぞれの工法を確認して、自社のニーズに合った建築方法を選びましょう。

倉庫に最適な建築方法とは

建築方法の比較

システム建築 テント倉庫 在来工法 プレハブ工法

寿命
30年以上 6~8年 30年以上 20年以上

価格
在来工法の2/3程度 最も安価
ただし張り替えの必要があるため長期運用は割高
高い 小規模建築物は安価

工期
2か月半~ 1~2か月 6か月~ 1~3か月

デザイン
シンプルで機能性を重視したデザイン
形状は選択幅が少ない
選択の余地無し
不安定な敷地にもある程度対応可能
用途や好みに合わせて素材や形状を選べる 規格に合わせて組み立てるため自由度はほぼ無し

耐久性
耐久性の高い素材を使用することで積雪・強風にも対応可能 劣化しやすい
ロープやテント材の劣化に常時気を付ける必要がある
自由に追求可能 外壁は耐久性が高いが、屋根材の耐久度が低め

システム建築は寿命が30年以上と長く、2か月半~の短工期で倉庫を建てることが可能。デザインは在来工法より少ないものの、シンプルなデザインにすることもできます。価格も在来工法に比べて2/3程度。寿命も30年以上と同じくらいなので、長期的に運用しても総コストが大きくかかりません。そのため、システム建築は倉庫の建築に最も向いている建築方法といえます。

倉庫に最適な建築方法とは

システム建築の倉庫の特徴

システム建築は建築物の設計や素材選び、見積もり、生産など様々な工程を、コンピュータで自動化できるように標準化したものです。ニーズに応じた倉庫を高品質で低コストかつ、スピーディに建設できます。合理的な工法で多くの用途に適しているといえるでしょう

メリット

ニーズに合わせて素早い見積もりと設計・建設が可能です。各工程を徹底的に合理化しているため、高品質で低コスト。耐用年数は約30年と長い寿命も特徴です。

デメリット

コンピュータを使用して設計と生産を合理化しているため、デザイン面の自由が利かないことが最大のデメリットです。機能性は優れているが、見た目は平凡な建物になることが多くあります。

テント倉庫の特徴

テント倉庫とはテントを使用した倉庫のこと。骨組みに合わせてシートを張るシンプルな工法です。耐用年数が短いかわりに、工期が短く低コストなので短期使用に有効な工法。レールで移動させ、折りたためるテント倉庫もあり、雨天時のみの利用もできます。

メリット

簡単な造りなので工期が短く低コストです。明るい色の生地を使えば、晴れた日の日中は照明がなくても明るく、冬場でも晴れていれば温かくなります。建築確認申請の認定が早いのも特徴です。

デメリット

紫外線に弱く劣化しやすいため、耐用年数は6~10年程度。夏は倉庫内が非常に暑く、劣化するほど強風に弱くなります。激安販売のテント倉庫は、建築確認申請を省略している可能性があるため注意が必要です。

従来工法の倉庫の特徴

従来工法は日本の昔ながらの建築工法で、柱や梁で建物を支える構造になります。耐久性が自由に追求でき、デザインの幅が広いのが特徴です。従来工法に関する情報も多く、個人で倉庫を建設する際に向いています。

メリット

用途や好みに合わせて素材や形状を選べるので、デザインや耐久性を幅広く選択できます。昔からある工法なので情報が多く、個人で倉庫を建設することも可能です。

デメリット

コストが高く、工期が長くなる可能性も。建物がどうしても重くなるため柱が増えます。

プレハブ工法の倉庫の特徴

プレハブ工法とは、あらかじめ工場で梁、床、壁パネルといったパーツを生産・加工し建築現場で組み立てる工法です。低コストで倉庫を設置したい場合や、期限が過ぎたらすぐに撤去したい場合に有効です。

メリット

あらかじめ大量生産しておいた建物のパーツを組み立てるので、コストが低く工期も短いです。強度が強く、耐用年数は約20年といわれています。店舗や事務所など用途が幅広いのが特徴です。

デメリット

既存の規格に合わせて建設するため、設計自由度が低いです。小規模な倉庫でも柱が設置され、邪魔になってしまうことも。条件によっては、防火対策が求められコストが上昇する可能性があります。

システム建築を使った倉庫の施工事例

システム建築で建設された倉庫の施工事例をまとめました。システム建築を行なっている会社の中から「住金システム建築」「横河システム建築」「コアシス建築」をピックアップし、建築物と概要を紹介しています。倉庫の建設を考えているのであれば、チェックしておくとより自社の倉庫イメージが固まりやすくなるでしょう。

住金システム建築

住金システム建築_施工事例
引用元:住金システム建築公式サイト(https://www.sumikin-sysken.co.jp/case/)

流通事業用の倉庫として設計されており、倉庫の側面部分はシャッター扉となっています。シャッター扉の周囲に余裕のあるスペース構成になっており、多様な車両サイズに対応できる作りが特徴。低コストながら、災害や気候への対策も行なっているシステムを採用しているのが魅力です。

施工事例の概要

  • スパンの長さ(m):25.00
  • 桁行き長さ(m):57.20
  • 施工床面積(m²):2,003
  • 軒高(m):8.50
  • 屋根:SD160I
  • 外壁:TSパネル+PB

住金システム建築の公式サイトを見る

横河システム建築

横河システム建築_施行事例
引用元:横河システム建築公式サイト(http://www.yokogawa-yess.co.jp/archives/production/6154)

短工期・ローコストのシステム建築「スーパーラピッド」を用いて建てられた倉庫です。天井走行クレーンが付帯しており、保管物の移動がしやすい設計となっています。建物幅は153mで、保管用途に適している建築物です。看板パネルの設置や軒高幅の調整がされており、依頼主のニーズに合わせた基礎設計になっています。

施工事例の概要

  • スパンの長さ(m):15.3
  • 桁行き長さ(m):23.4
  • 施工床面積(m²):412
  • 軒高(m):7.50
  • 屋根:PXルーフ
  • 外壁:Vリブウォール

横河システム建築の公式サイトを見る

コアシス建築

コアシス建築_施工事例
引用元:株式会社コア公式サイト(http://www.core-system.co.jp/performance/1745/)

谷型の土地を基礎工事で埋め、広大な敷地を確保して作られた倉庫です。倉庫の桁行きは133m、スパンの長さが34mと非常に大きな建物となっています。カスタムタイプのシステム建築で作られており、自由度の高い設計が特徴。中柱・間柱をできるだけ排除し、作業スペースや保管スペースを十分確保できる構造です。

施工事例の概要

  • スパンの長さ(m):34
  • 桁行き長さ(m):133
  • 施工床面積(m²):5,453
  • 軒高(m):7.15
  • 屋根:ガルバリウム鋼板
  • 外壁:要問合せ

コアシス建築の公式サイトを見る

倉庫建設の際に押さえておくべきポイントを解説

コストを抑えた倉庫建設を可能にする、倉庫の種類や用途、建設において重要なポイントをまとめました。安全性や耐久性などを満たしたうえで満足できる仕上がりの倉庫を作りたいなら、チェックしておいて損はないでしょう。

倉庫の種類

倉庫には農業や製造業などの物品を保管する「普通倉庫」や物品を10℃以下で保管する「冷蔵倉庫」、原木を河川や海で保管する「水面倉庫」などがあります。

中でも倉庫の大半を占めるのが「普通倉庫」。設備や構造基準で、1~3類倉庫・野積倉庫・水面倉庫・貯蔵槽倉庫、危険品倉庫・冷蔵倉庫が分類として存在。他にも、個人で利用するためのトランクルームが倉庫に分類されます。企業での物流・物品保管には主に1~3類倉庫が使われるのが一般的です。

種類別の倉庫の役割

普通倉庫で分類されている8種類の倉庫には、それぞれ用途や基準が決められています。屋外保管の野積倉庫や水面倉庫を除く6種類の役割・保管物品をまとめました。

1類倉庫

建屋型営業倉庫で、一番高い水準の設備・構造基準を備えています。建築時は外壁基準や災害対策、防犯といった基準を全て満たさなくてはいけません。

  • 設備基準:防水性能・防湿性能・遮熱性能・耐火(防火)性能
  • 保管物品:日用品・紙・電気機械・1類~5類の物品

2類倉庫

建築に必要な設備基準が、1類倉庫よりも緩和された倉庫です。ただし保管物品に制限があります。

  • 設備基準:防水性能・防湿性能・遮熱性能
  • 保管物品:でん粉・肥料・セメント・2類~5類の物品

3類倉庫

設備基準が2類倉庫よりも緩和された倉庫で、防湿性能を満たす必要がありません。そのため燃えにくい・湿気に強い物品の保管に向いています。

  • 設備基準:防水性能・遮熱性能
  • 保管物品:ガラス類・陶磁器・鉄材・3類~5類の物品

貯蔵槽倉庫

タンクやサイロで密閉された物品を扱う倉庫です。漏れ出す心配がないように、防水や強度の高さが重視されます。

  • 設備基準:防水性能・耐火(防火)性能・側面の強度
  • 保管物品:袋に入っていない穀物類・糖蜜などの液状物

危険品倉庫

さまざまな法律で「危険物」に分類されている物品を保管する倉庫です。

  • 設備基準:保管する土地の周囲を柵や塀で防護する・消火設備を設置する・防犯に備える
  • 保管物品:消防法・第2条第7項/高圧ガス保安法・第2条/液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律・第2条第1項/石油コンビナート等災害防止法・第2条第4号
    上記法律にて危険物と指定されている物品

冷蔵倉庫

10℃以下で保管しなくてはいけない物品用の倉庫で、生鮮物を主に保存するところです。

  • 設備基準:外壁の強度・防水性能・耐火(防火)性能・温度計の設置
  • 保管物品:10℃以下で保管する農畜水産物(生鮮・冷凍)、その加工品など

倉庫を建設するなら、種類や使用目的をきちんと確認しておきましょう。倉庫の種類や設備基準が目的に合っていない場合、基準違反で建築できないことがあります。システム建築は基礎工法から建材まで規格化された工法なので、倉庫を建てるのであればそれぞれの用途に合わせた設計・依頼が重要。そのため、さまざまなニーズに対応できるシステム建築を扱っている会社に依頼するのがベストです。「倉庫の種類」「設備基準」「保管できる物品」などのポイントを押さえ、低コストで安全な建物に仕上げてもらえるところを選びましょう。

倉庫建築で気を付けるべき法令

倉庫は充分に管理されていない場合、火災が発生する危険性があるため、「特殊建築物」にあたります。そのため、建設の前に確認が必要に。建築基準法と建築基準関係規定について知っておく必要があります。

建築基準法

倉庫を建築する際には、床面積や高さなどを注意する必要があります。平成27年より、小規模な倉庫は建築物とは見なされなくなりました。必要となるのは、100m2以上の床面積です。

また建築基準法第6条第1項で定める基準を見たさなければ、倉庫には該当しません。

建築基準法第6条第1項

木造かそれ以外の建築物かで、満たすべき条件が異なります。より条件が厳しいのが、出火した際の危険性が高い木造の倉庫。

  • 3階建て以上
  • 延べ面積50m2以上+高さ13m以上あるいは軒の高さ9以上

以上の条件を満たさなければ、木造の建物は倉庫にできません。

木造以外の建築物であれば条件は緩和され、満たすべき条件は以下の2つになります。

  • 2階建て以上
  • 延べ面積は200m2以上

建築基準関係規定

建築基準法第6条第1項に該当しない場合、以下の規定に適合しなければ倉庫として見なされません。

消防法第17条第1項

倉庫に関する基準や規定は、安全性を確保するために、出火への備えを建築前に厳しくチェックします。消防用水や消火活動に必要な施設など、消防への備えを十分に考えましょう。

港湾法第39条第1項、第40条第1項 都市計画法第29条第1項又は第2項

倉庫そのものの高さ、床面積、消防面以外にも、土地と接する建物だからこそ、土地の条件に合致しているかどうかも重要です。倉庫を建築できるのか、必要な許可を得ているかなど、事前に確認しておきましょう。