工程を自動化した合理的な工法、システム建築による倉庫の特徴と価格や工期などを紹介します。
システム建築とは、建築物の仕様を標準化することで概略設計や見積、そして生産工程などをコンピュータで自動化したもの。倉庫のように外観やレイアウトにあまりこだわる必要がない建築物なら、費用や工期を短縮して目的にマッチした倉庫が出来上がる、極めて合理的な工法といえます。
システム建築では、過去の建築物のデータベースをもとに標準化した設計をするため、見た目的意味合いでのデザインはあくまでシンプル。
一方、機能性を重視した設計で、間柱がなく低層で大きな空間を利用できる点などは倉庫に適しています。
システム化された建築物は、増設や併設するにあたっても在来工法に比べて容易で、柔軟性が高い工法といえます。倉庫用途であれば、後からオフィススペースを併設したり、取り扱い規模によって増設する際も費用や期間の節約になります。
部材や性能によって変動しますが、ここでは価格の一例を紹介します。
11.7m×18m×5m(210.6m²)のシステム建築倉庫
- 13,556,000円
18m×30.6m×5m(894.24m²)のシステム建築倉庫
- 33,666,000円
30.6m×60.3m×5m(1845.18m²)のシステム建築倉庫
- 65,389,000円
システム建築による倉庫の価格は、同等仕様の在来工法と比べて2/3程度で済むのが一般的。小規模な倉庫の場合だとプレハブ工法の方が安価になるので、予算重視だとプレハブの方が有利ともいえます。ただし、寿命や耐久性などはシステム建築に軍配が上がるため、用途・使用目的・期間も考慮したほうが良いでしょう。
在来工法だと半年以上はかかるところ、システム建築なら最短2.5か月からの工期で完成可能。ただし、工期という面で見ると、テントやプレハブ工法だと最短1か月からの工期でも対応できます。テント倉庫やプレハブ倉庫は耐久性の面で劣りますが、短期間の使用であれば十分かもしれません。使用する期間の計画を立てたうえで選択するのが良さそうです。
柱が少ない大空間を持つ設計は、物流業界における重要課題である倉庫内業務の効率化に役立ちます。また、荷捌き用の大きな庇を持つ構造にも対応できます。
例えば農作物の保管では、選別や梱包といった作業ができるスペースや温度管理ができるスペース、そして事務所スペースも必要。これらを柔軟に設計して増設・併設できるのもシステム建築倉庫の強みです。
システム建築倉庫は、テントやプレハブでは難しい規模や用途で、在来工法よりも安価かつ短期間で完成できるのが大きなメリット。約30年という耐用年数も費用対効果の高さにつながります。一方、デザイン的な自由度は低いのが実状。しかし最近では、自由度の高い設計ができるシステム建築業者も出てきているようです。
倉庫建築は大きな設備投資でもあります。メリットとデメリット両面を加味して、複数の工法を比較検討してから判断しましょう。
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