システム建築Online 特集『システム建築』最前線

店舗

店舗のイメージ

大きな建物を建築する際に気になるのが、建築方法ごとの特徴です。ここでは店舗を建てる建築方法として、システム建築や在来工法、プレハブ工法の3種類を、寿命・価格・工期・デザイン・耐久性で比較しました。それぞれのメリット・デメリットをまとめているので、チェックして自社の店舗を建てる際に役立ててください。

店舗に最適な建築方法とは

建築方法の比較

システム建築 在来工法 プレハブ工法

寿命
30年以上 30年以上 20年以上

価格
在来工法の2/3程度 高い 小さい店舗なら安価で建設可能

工期
2か月半~ 6か月~ 1か月~3か月

デザイン
シンプルで機能性を重視したデザイン
形状は選択幅が少ない
用途や好みによって素材・形状を選ぶことが可能 規格に合わせて組み立てる工法
デザインの自由度はあまり無い

耐久性
耐久性の高い素材を使用すれば災害・気候変動にも対応可能 自由に追求できる 外壁は耐久性が高いが、屋根材の耐久度が低くなる傾向がある

システム建築の店舗の特徴

システム建築は、建物を構成する部材の寸法や形状などをあらかじめ統一することで、設計から施工までのすべてのプロセスがシステム化されていることが大きな特徴となっています。そのため、効率的で経済的な設計が可能です。主に、大型店舗の建設に採用されています。

システム建築は大型店舗、在来工法は大型店舗・ビル内店舗のどちらにも対応可能。プレハブ工法では法律上大型店舗を建築できないため、小型店舗のみの建築となります。

建物寿命の違い

システム建築・在来工法ともに、建物の寿命は約30年、プレハブ工法だと20年といわれています。これは、部材や施工方法に違いがあるためです。

システム建築と在来工法の寿命はほぼ同じとなっています。在来工法が鉄骨を使い強度を増すことで耐久性を高めています。耐震性や耐火性に優れているのが特徴です。システム建築は規格化された高品質な部材や工法によって寿命を長くしているのが特徴。品質の良さが耐久性を高めているため、寿命が長くなっています。

プレハブ工法は他二つよりも寿命が短めですが、これは耐火性や耐久性が他よりも若干低めのため。部材やメンテナンスの状況により、一般的な寿命より長持ちさせることは可能です。

建築寿命は工法の違いによっても変わりますが、こまめなメンテナンスによっても変化します。

建設コストの違い

在来工法は、いわばオーダーメイド工法となるため、建築する建物に合わせた部材や部品、建材が必要です。自由度が高いかわりに、コストがかかります。コストが抑えられているシステム建築は、部材が規格化されていることに加えて、手配ルートもシステム化されているためコストが低く抑えられるのです。

在来工法に引けを取らない耐久性や耐震性を持ちながら、コストダウンがはかれるため、自由度を最重要視していないのであればシステム建築を利用するのがおすすめです。

プレハブ工法は、建材や部材の規格が決まっています。建物によって使用する部材や建材の個数は変わりますが、1つ1つの部材は同じ。その建物を作るために独自規格の建材を用意する必要がありません。そのため、コストが抑えられるのです。

工期の違い

工法の違いは工期の違いでもあります。システム建築は、発注ルートのシステム化や部材の規格化により工期を短縮。約2ヵ月半の工期で竣工となります。ある程度の自由度は残しつつ、あらかじめ決めておける部分を確定させているため、短い工期で済むのです。在来工法にくらべ、約三分の一の工期というスピーディーな対応が可能になっています。

在来工法は6ヵ月以上の工期を必要とします。デザインや耐久性などを施主の思い通りにできる反面、工事内容が複雑になったり建材を用意するのに時間がかかってしまうのです。

プレハブ工法は、決まっている建材を現地で組み立てる仕組み。工場で作られた建材をその場で組み立てていくため、規模にもよりますが最短で1カ月ほどで竣工となります。

従来工法の店舗の特徴

一般住宅やなど、古くから日本で広く使用されてきた伝統的な建築方法です。建物の構造の主要な部分である柱を垂直に立てて組み合わせた「軸組」と呼ばれるもので全体を支えます。また、大型店舗やビル内店舗どちらにも対応が可能であることが従来工法の特徴です。

メリット
最大のメリットとしては、広く材料を選択できるため、デザインや造りに関する自由度の高さがあげられます。耐震性に関しても自由に追求することも可能です。比較的可変性が高く、手入れがしやすいことも長所となっています。

デメリット
自由度が高い反面、工程の無駄や過度なこだわりのために時間と費用がかかってしまい、他の建築方法に比べて工期が長い点が短所です。また、施工にあたる大工によって、品質にばらつきが多いことも挙げられます。

プレハブ工法の店舗の特徴

あらかじめ壁や床、天井などの建築に必要な部材を工場で作り上げておき、現場で搬入して組み立てるという工法のことです。このプレハブ工法は、主に小型店舗の建築に採用されるほか、工期を非常に短縮できるため災害時の仮設住宅の建設等に用いられています。

メリット
プレハブ工法は、あらかじめ作り上げられたパーツを組み立てるのが主な作業になるので、完成までの工期を非常に短縮することができます。そのぶん人件費を抑えられるため、低コストでの建築が可能です。

デメリット
規格に合わせた組み立てを行うため、デザインやレイアウトの自由が利きにくいことがデメリットとして挙げられます。またプレハブ工法では、法律上大型店舗の建築を行うことができません。

システム建築を使った店舗の施工事例

良い条件の建築方法でも、実績が無ければ不安になるケースがほとんど。そこで、システム建築を使った店舗の施工事例を会社ごとに紹介しています。システム建築を行っている会社から3社をピックアップし、事例の特徴や基本情報をまとめました。

住金システム建築

住金システム建築_店舗施工事例
引用元:住金システム建築公式サイト(https://www.sumikin-sysken.co.jp/case/)

平屋建てのシステム建築「ティオ」をベースに作られた店舗です。スパンが29.18m、桁行き長さが40.18mと奥行きのある構造となっています。前面がガラス張りで、見栄えを重視した作りが特徴。高断熱性・高水密性を誇る建築方法で建てられているため、建物内は快適な環境が保たれています。耐震性が高い無溶接工法の鉄骨システムで、地震にも対応できるのが強みです。

施工事例の概要

  • スパンの長さ(m):29.18
  • 桁行き長さ(m):40.18
  • 施工床面積(m2):1,357.61
  • 軒高(m):4.7
  • 屋根:要問合せ
  • 外壁:要問合せ

住金システム建築の公式サイトを見る

横河システム建築

横河システム建築_店舗施工事例
引用元:横河システム建築公式サイト(http://www.yokogawa-yess.co.jp/archives/production/5850)

大型スーパーに多い中柱・間柱を少なくした設計の店舗です。スパンと桁行き長さがほとんど同じになる、大型店舗に多く見られる構造。温度変化に対応できる屋根システムを導入しており、気候変動にも対応可能です。外壁にはブラスターボードとVリブウォールを使用し、防火構造を実現。火災時も延焼しにくくなっています。

施工事例の概要

  • スパンの長さ(m):47.7
  • 桁行き長さ(m):43.4
  • 施工床面積(m2):2,307
  • 軒高(m):5.25
  • 屋根:PXルーフ
  • 外壁:Vリブウォール

横河システム建築の公式サイトを見る

JFEシビル

JFEシビル_店舗施工事例
引用元:JFEシビル株式会社公式サイト(https://www.jfe-civil.com/system/metalbuilding/case/ビッグモーター(みやき店)/)

柱・杭・基礎を一体化させた「いちいち基礎工法」で建築されており、耐震性に優れた店舗となっています。屋根に二重立ち巻き構造のハゼを使った、水密性が高い構造の建物です。熱伸縮機構を採用しているため、より雨漏りしにくくなっています。壁も断熱・遮音などの機能が付いた材料を使用し、建物の周囲に影響を与えにくい仕上がりが特徴です。

施工事例の概要

  • スパンの長さ(m):要問合せ
  • 桁行き長さ(m):要問合せ
  • 施工床面積(m2):1,106
  • 軒高(m):要問合せ
  • 屋根:Kルーフ21N
  • 外壁:要問合せ

JFEシビルの公式サイトを見る

店舗建設のポイントとは?

店舗を建設するには、店舗の建設動向とそれにかかわる法律を把握しておくことが必要です。需要が無い場所に店舗を設置しても、売上は伸びにくく利益が得られません。自社の売上確保のためにも店舗の建設動向を知り、確実に利益を上げられるようにしましょう。

店舗の建設動向

バブル期以降、販売額の減少や個人支出が減っているにもかかわらず、スーパーマーケットや衣料品店舗などの大型店舗は増加しました[注1]。1989年に店舗の建設に関わる「大規模小売店舗法」の規制が緩和され届出がより簡単になったため、店舗建設の届出が増えたと考えられます。

届出の増加に伴って大型店舗の着工数も変化。2000年に「大規模小売店舗立地法」が施行されてからは駆け込み的な店舗着工も起こりました。しかし、2001年からは新しい法律の基準を満たす大型店舗が少なくなり、建設の届出が少なくなっています。

また、週末のまとめ買い習慣や購買のレジャー化・エンターテインメント化による店舗建設が増加するように。週末にショッピングに出かける人が多くなったのをきっかけに、映画館やフードコートなどを店舗内に併設した複合商業施設(ショッピングセンター)の需要が高まってきました。

大規模小売店舗法

1974年に制定された、大規模小売店舗の立地や建設について定めた法律。地域商店街などの保護を目的としており、店舗面積や営業形態の調整に関する項目をチェックされます。経済やニーズの変化により2000年に廃止、大規模小売店舗立地法に変更されました。

大規模小売店舗立地法

大規模小売店舗の建設について定めた法律で、地域の生活環境保護を目的としています。環境指針や建築基準などの項目が細かく決められており、該当する店舗、およびこれから建設する店舗はすべて届出が必要です。

現在需要が高まっているエリアは?

現在、大型店舗の需要が高まっているエリアは、大都市および地方中核都市の郊外です。立地別のショッピングセンター開設数(日本ショッピングセンター協会)では、近年は郊外型のショッピングセンターが増加していることがわかっています。初期は10年間で320店舗だったのに対し、1991年からの11年間で倍以上の741店舗に変化[注2]。大都市や地方中核都市のベッドタウンを中心にインフラ整備が進み、アクセスの利便性が向上。消費者の購入における行動範囲が広がったことをきっかけに、郊外型のショッピングセンターが増加したようです。店舗建設をするのであれば、そういった土地が狙い目と言えるでしょう。ただし大規模小売店舗立地法で周囲への環境配慮が求められているため、建築基準をカバーできる方法で建設を行いましょう。

参照元

店舗建築で気を付けるべき法令

大規模小売店舗立地法

大規模小売店舗の建設について定めた法律で、地域の生活環境保護を目的としています。環境指針や建築基準などの項目が細かく決められており、該当する店舗、およびこれから建設する店舗はすべて届出が必要です。

該当する店舗

店舗面積1,000m2を超える大規模小売店舗を建設する際には、都道府県あるいか政令指定都市へ届け出を行います。

配慮事項

指針で「配慮すべき」とされているのが、駐車場の収容台数や廃棄物などを保管する施設の容量、荷捌きを行なう施設の位置など。届け出を行なう際に、これらの配慮事項についてまとめ、周辺の環境や住民の生活の保持に努めていることを報告します。

届出からの流れ

届出から2ヶ月以内に、店舗の設置者から説明会を開催。届出から8ヶ月以内に、地元の市町村や住民から店舗建設に関する意見を提出します。

その後、都道府県などからも意見提出され、設置者は自治体や周辺住民からの意見を受けて「自主的対応策」を提示。

対応策に意見が反映されておらず、生活環境への悪影響が考えられる場合には、再度地元の市町村から意見が提出されます。その際は、都道府県からの勧告を受ける可能性も。周辺の生活環境を保持できるような対応策を作成できるよう、多方面からの意見に真摯に向き合うことが重要です。

参照元

経済産業省:大規模小売店舗立地法の概要