システム建築Online 特集『システム建築』最前線

学校舎・体育館

体育館のイメージ

学校舎や体育館の建設をする際は、「システム建築」「在来工法(鉄骨造)」「プレハブ工法」から選択できます。3つの工法を寿命・価格・工期・デザイン・耐久性といった、5項目で比較しました。メリットやデメリットを踏まえたうえで、自社の目的に合った建築方法を選択しましょう。

学校舎・体育館に最適な建築方法とは

建築方法の比較

システム建築 在来工法 プレハブ工法

寿命
30年以上 30年以上 20年以上

価格
在来工法の2/3程度 高い 小規模建築物の中では安い

工期
2か月半~ 6か月~ 1か月~3か月

デザイン
シンプルで機能性を重視したデザイン
形状は選択幅が少ない
用途や好みによって素材・形状を選ぶことが可能 規格に合わせて組み立てる工法
デザインの自由度はあまり無い

耐久性
高い耐久性のある部材を採用
各種グレードごとに遮音・断熱が用意されている
もっとも耐久性を追求できる 外壁は耐久性が高いが、屋根材の耐久度が低い傾向がある

「システム建築」「在来工法(鉄骨造)」「プレハブ工法」を比較したところ、コストを抑えて長期的に利用できる学校舎・体育館を建てるのに適した工法はシステム建築になっています。デザインの幅は少なくなっていますが、機能を重視する学校舎や体育館であれば問題ないといえるでしょう。耐久性も他の工法と比べて、劣る部分はありません。

システム建築のメリットとデメリット

耐久性と安さの両方を求める教育機関や団体に向いているのが、システム建築。在来工法並みの耐久性を、2/3の費用で実現可能です。工期も2~3ヶ月と短いため、教育機関であれば長期休暇の期間を利用することで、スポーツ活動の制限を最小限に留められます。

スポーツ施設は、間に柱を設けずにひと続きの空間を必要とする建物です。システム設計では骨組みに強度の高い部材を使用。屋根や壁にも断熱性や遮音性の高いパネルを使用することで、気候や使用状況に合った快適な環境にカスタマイズできます。必要最小限の条件にあった自由設計が可能です。

ただし、機能性を重視して必要な部材をあらかじめ用意しているシステム建築では、在来工法のように自由なデザイン設計はできません。

在来工法のメリットとデメリット

建築方法の中で、最も自由度が高いのが在来工法です。短工期の施工方法と比べて、建物1つひとつに合わせた設計・部材の手配を行なうため、素材や形状を自由に選択可能。耐久性・耐震性など、設計段階からこだわることができます。そのためスポーツ施設を長期に渡って使用する際に最適な工法です。

耐久性が高い反面、費用と工期が最もかかる在来工法。建築・改修コストの限られている教育機関には向かない場合もあります。「学校施設整備の在り方」についての報告書では、工期の短い改修への転換が推奨。建て替えの場合は、従来工法での全面建て替えではなく、工期の短い改修が望ましいとされています。これから新たに建築、あるいは改修する教育機関のスポーツ施設であれば、在来工法よりも、耐久性や耐震性に優れた、低コストの工法が主流になっていきそうです。

プレハブ工法のメリットとデメリット

プレハブ工法は、最も低コスト・短工期で建てられる工法です。現場で部材を組み立てるだけで完成。厳しい品質管理のもとで均一性の高い部材を生産しているので、無駄を省きながら高品質なスポーツ施設を建設可能です。強度の高い部材で、耐久性も発揮。骨組みに使用される軽量鉄骨は自重が小さいため、地震の際に揺れを抑えます。

懸念点として挙げられるのは、手軽に建てられるぶん、他の工法よりも10年ほど寿命が短いこと。長期的に使用するのであれば、改修費用も考慮する必要があります。また部材が規格化されているので、現場では組み立てるのみ。デザインの自由度はありません。

システム建築の学校舎・体育館施工事例

学校舎や体育館の建築に適しているシステム建築。ここでは、特にシステム建築がよく利用されている体育館の施工事例を3つご紹介しています。実際に建てられた体育館をチェックして、スムーズに依頼できるようにしましょう。

CASE1.独自システムでコストを抑えた設計
(施工会社:横河システム建築)

横河システム建築_学校舎・体育館施工事例
引用元:横河システム建築公式サイト(http://www.yokogawa-yess.co.jp/archives/production/4553)

標準化された設計構造で低コストな設計に

熊本県にある高等学校の体育館です。横河システム建築が独自に開発した、「yessシステム建築・カスタムシリーズ」を利用して建てられました。屋根はオリジナルの二重ハゼ工法によって、施工の容易さと高い水密性能を両立させた「SSルーフ」を採用。大規模物件まで対応可能です。外壁は意匠性と断熱性能に優れている「フラットバンド35V」を使用しています。

施工事例の概要

  • スパンの長さ(m):57.2
  • 桁行き長さ(m):43.2
  • 施工床面積(m2):2470
  • 軒高(m):13.1
  • 屋根:SSルーフ
  • 外壁:フラットバンド35V

横河システム建築のシステム建築が学校舎・体育館に最適な理由

学校舎向けにラフィット「スクール」を提供しています。規格設計をベースに設計することで自由設計タイプでも短工期・低コストを実現。就学者の勉学に適した設計にできる仕様になっています。亜鉛メッキの耐食性能を持ったコンクリートスラブ床や、耐熱・耐火性に優れるコンクリートパネル壁など、安全性とライフサイクルコストの優位性を兼ね備えた内容です。

横河システム建築の会社紹介

鉄骨・屋根・外壁・建具が規格化され自社ブランドの「yess建築」を採用しています。一般評定BCJ-ST0171-04として認められた工法を用いており、もともとアメリカで使用している技術を日本の建築基準に適合するように改良されているのも特徴です。

また、自社工場で生産している屋根材・ガルバリウム鋼板は防錆加工を施し、断熱材のYマットを組み合わせることで軽いながらも高い断熱性を確保。さらにルーフの種類が非常に多いため、建物幅や屋根勾配、雪国工法の有無などによって最適なものが選べるでしょう。

横河システム建築の口コミ評判

口コミは見つかりませんでした。

横河システム建築の
施工事例を公式HPでもっと見る

CASE2.自由度の高い設計で使い心地の良さを実現
(施工会社:JFEシビル)

JFEシビル_学校舎・体育館施工事例>
引用元:JFEシビル公式サイト(https://www.jfe-civil.com/system/metalbuilding/case/江戸川大学第2体育館/)

オーダーメイド型の設計で環境に応じた快適な施設へ

千葉県にある大学の体育館です。面積は1,997 m2と広め。壁システムは、断熱・遮音性に優れたKBパネルシリーズを採用しています。夏は涼しく、冬の底冷えを抑えられるのが特徴です。屋根は温度変化による熱伸縮に対応できる「Kルーフ21」を使用。防露・断熱・吸音による、快適環境を実現できます。

施工事例の概要

  • スパンの長さ(m):不明
  • 桁行き長さ(m):不明
  • 施工床面積(m2):1,997
  • 軒高(m):不明
  • 屋根:Kルーフ21
  • 外壁:KB230

JFEシビルのシステム建築が学校舎・体育館に最適な理由

JFEシビルでは約2,000m2の大型体育館の施工実績があります。構造と壁、屋根の各システムの組み合わせ次第で、使い勝手の良い適切な体育館を建築できることが分かります。

JFEシビルの会社紹介

1972年の創立以来、長きに渡りJFEスチールの製鉄所や製造所の建設、メンテナンス、海外プロジェクトなどを手掛けている会社です。国内のみならず国外にもネットワークを有しており、建築物やインフラ整備に求められるニーズの変化にも敏感です。そのため、依頼主のニーズを最大限に引き出し、満足できるようなサービスの提供が期待できます。

公式ホームページでは、建物のタイプ別に施工事例を確認することが可能。特に校舎や体育館は、広い空間や安全性の確保を徹底しています。

JFEシビルの口コミ評判
  • 鉄骨造ならではの良さが引き出せました
    「メタルビルの高断熱性と太陽光パネルのおかげで、ランニングコストが従来と比べて80%カットされました。正直こんなに省エネ効果が得られると思っていなかったので、非常に驚いています。証明や音響の設置も簡単でした。加工しやすいのも鉄骨ならではのメリットだと聞いたので、最大限に活かした施設にしてもらいました。工期も短くて、大変満足しています。」
  • 理想通りの建物に仕上がった
    「さまざまな建設会社をリサーチしましたが、そのなかでも特にデザイン性が高かったJFEシビルを選びました。アクセサリー類も豊富で、イメージした通りの建物に仕上がってよかったです。また、大スパンの要望も叶えてくれるので、スペースを有効活用できる点も気に入っています。かなり高性能な出来に満足しており、このレベルが担保できるならシステム建築の需要はこれからどんどん増えいくのではないかと予想しています。」

JFEシビルの
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CASE3.多様性だけでなく外観も考案した設計
(施工会社:川田工業)

川田工業_学校舎・体育館施工事例
川田工業公式サイト(http://www.sysken-kawada.jp/case/?id=1454482937-609715)

外壁にタイルを使い外観にもこだわった設計に

神奈川県にある居住者専用の体育館です。主に運動施設として利用されるケースが多く、1階にはバスケットコート一面やジャグジーを完備。2階にはフィットネスルームやラウンジが付いています。外壁には外壁タイルが施されており、周囲のマンションとの景観を調和。多様性とデザイン性が備わった体育館です。

施工事例の概要

  • スパンの長さ(m):不明
  • 桁行き長さ(m):不明
  • 施工床面積(m2):1,294
  • 軒高(m):不明
  • 屋根:要問合せ
  • 外壁:要問合せ

川田工業のシステム建築が学校舎・体育館に最適な理由

大型マンションの居住者が使用するアリーナ施設建設の実績が豊富です。複層階層となっているケースが殆どで、1階にはバスケットコートやジャグジー設備、2階にはフィットネスルームなど、多目的な用途を実現します。また外壁も選択ができるので、周囲の建物との景観差異を気にする必要がありません。

川田工業の会社紹介

「安心で快適な生活環境の創造」を経営理念として掲げている川田工業は、これまでに培った豊富な技術と経験を活かした幅広い要望の建築が可能です。お客様のニーズをヒアリングしたうえで、より良い建物となるような工法・手法を提案してくれることが期待できます。

また、有柱空間と無柱空間の建築技術を使い分けられるため、レイアウトの自由度が高いのも魅力。もちろん、中柱・間柱がない無柱空間を作り出すことも可能で、広々とした開放的な空間も実現できます。

川田工業の口コミ評判

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学校舎・体育館建設のポイントとは?

学校舎や体育館といった学校施設は、耐震診断および耐震改修の努力義務が「建築物の耐震改修の促進による法律」によって課せられています。ここでは、学校舎・体育館を建設する際に注意すべきポイントをご紹介。建設するときにお役立てください。

耐震性を確保することが大切

学校施設は地震や余震発生時に児童生徒の安全を確保して、地域住民の応急的な避難場所としての役割を担うため、耐震性能を確保することが重要になります。そのため、文部科学省では「学校施設の耐震化推進に関する調査研究協力者会議」の内容を踏まえ、平成15年に「学校施設耐震化推進指針」を策定。各設置者が所管する学校施設の耐震化を推進するための基本的な考え方、具体的な耐震化推進計画の策定手法および留意点を提示しています。

学校施設耐震化推進指針での提言

学校耐震化推進では、既存学校施設の耐震推進に係る基本方針を以下のように定めています。

  • 倒壊または大破するおそれがある危険度の大きいものから、優先的に耐震補強や改築といった耐震化事業を実施
  • 耐震化優先度調査や耐震診断の結果、耐震化推進計画の内容について広く学校関係者に対して好評の視点を示している
  • 個別事業の緊急度を考慮した耐震推進計画を、必要に応じて設置者ごとに策定

そのほか、既存学校施設の耐震化推進計画を策定するため、以下のことが提案されています。

  • 行政担当者や学識経験者、教職員で構成する学校施設の耐震化に関する検討組織の設置
  • 自信調査研究推進本部が作成を進めている、地震動予測地図の活用方法
  • 耐震診断の優先度を検討するための、耐震化優先度調査の早期実施
  • 耐震診断の結果に基づく、耐震化事業の緊急度に関する評価方法

「耐震化の推進など今後の学校施設整備の在り方」についての提言

今後の学校施設整備の在り方について検討が行われ、以下のような報告書が取りまとめられました。

  • 基本的に全面建て替え方式から工事の価格が安く工期の短い改修方式による再生整備への転換を図る
  • 社会的な要因によって児童生徒数の増加に対応するため、新増築が引き続き必要
  • 社会資本として、学校施設の有効活用を図る

「耐震化の推進など今後の学校施設整備の在り方」では、工事費が安くて工期の短い改修方式に再生整備へ転換させる必要があると記載されています。低コストで短工期のシステム建築は、うってつけといえるでしょう。学校施設の建設を考えている人は、システム建築を検討してみてください。

学校舎・体育館建築で気を付けるべき法令

幼稚園施設整備指針

幼稚園を建築するにあたって意識したいのが、基本的方針にうちの2項目「学びの環境」「安全な環境」です。

ふれあいを通して幼児が学べる環境の整備

自然や人との交流・ふれあいを通して、幼児は好奇心を満たしながら成長していきます。

幼稚園施設では、幼児の自発的な遊びを通して成長できるような環境づくりが重要です。

健康・安全に過ごせる環境を確保

なにより重視すべきは、障害のある幼児も過ごしやすい、1人ひとりの特性に配慮した環境であること。

自然光や風を適度に取り込める環境の確保が必要です。周辺の自然環境や文化も踏まえた環境を整えることを意識しましょう。

また安全面を確保するために、防災・防犯の備えの徹底も重要なポイントです。

小学校施設整備指針

教育機器の導入

高度な教育内容に対応できるような学習環境を整えることが必要です。コンピューターをはじめとした高度な教育機器の導入を考慮した設計を行ないましょう。

良好な環境の整備

幼稚園と同様に、日当たりや通風など、過ごしやすい環境が必要です。防災面も考慮された、安心して過ごせる環境をつくりましょう。

バリアフリー

地域の公共施設としての役割も担う小学校。誰でも利用できるようバリアフリー対策も行なうことで、緊急時の避難所としても利用できます。

システム建築による
学校舎・体育館の施工事例ギャラリー

システム建築による学校舎・体育館の施工事例1_内藤ハウス
引用元:内藤ハウス公式サイト(https://www.naitohouse.co.jp/case/福岡県内学校仮設校舎202/)

ライトグレーで統一された外観が特徴的な、床面積2,032m2の教育施設。全ての部材を規格化して工場生産しており、部材は再利用ができます。そのため、環境に非常に優しい思いやりのある建物といえますね。外壁には、硬質ポリウレタンフォームを挿入したサンドイッチパネルを採用。断熱性に優れ、広い空間でも快適な室温を保てます。

システム建築による学校舎・体育館の施工事例2_内藤ハウス
引用元:内藤ハウス公式サイト(https://www.naitohouse.co.jp/case/東京都内幼保園園舎106/)

床面積990m2の2階建て教育施設。規格にとらわれない材質・形状で、フルオーダーを可能としたハイデラックス工法を採用しています。外壁にブラウンのサイディング、屋根にはダークブラウンのガルバリウム鋼板を使い、落ち着いたツートンカラーを演出。堅牢性を備えた角パイプを用いているため、耐火および準耐火建築にも対応できる優れものです。

システム建築による学校舎・体育館の施工事例3_内藤ハウス
引用元:内藤ハウス公式サイト(https://www.naitohouse.co.jp/case/神奈川県内某大学実験棟105/)

オフホワイトで洗礼されたイメージを彷彿とさせる、床面積292m2の大学実験棟。建築の最高峰である軽量鉄骨は、オリジナリティに富んだ建築物をつくるのにも適しています。あっさりとしたシンプルなデザインは、システム建築ならでは。高い耐久性と耐震性を実現していますが、費用は従来工法の2/3程度に抑えられるのも特徴です。

システム建築による学校舎・体育館の施工事例4_内藤ハウス
引用元:内藤ハウス公式サイト(https://www.naitohouse.co.jp/case/某武道場(246)/)

経済効率の高い開放的な空間を確保する、ナイススパンを採用した武道場。内部は無柱構造となっており、スポーツをするうえで障害物となるものは一切なくしています。特注の切妻屋根タイプは、多雪地域にも適応可能。自然と雪が落ちるため、建物に負担をかける心配もありません。部材や工法をシステム化することで、低価格を実現しています。

システム建築による学校舎・体育館の施工事例5_横河システム建築
引用元:横河システム建築公式サイト(https://www.yokogawa-yess.co.jp/archives/production/6879)

高等学校につくられた屋内練習場。幅10.3m・奥行28.8mで、yess建築のカスタム仕様となっています。外壁はシンプルなホワイトシルバーですが、野球グラウンド側に面する建物の裏面はグリーン系のオリーブ色が採用されており、白球などを識別しやすいよう工夫されています。

参照元

小学校施設整備指針(平成30年3月)

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