屋内スポーツ施設は、天候を気にすることなく利用できるため人気を集めています。屋内スポーツ施設を建設する際はシステム建築や在来工法、プレハブ工法の3つから選択することが可能です。寿命・価格・工期・デザイン・耐久性から比較をしています。それぞれの工法をチェックして、目的に合った建設方法を選びましょう。
システム建築 | 在来工法 | プレハブ工法 | |
寿命 |
30年以上 | 30年以上 | 20年以上 |
価格 |
在来工法の2/3程度 | 高い | 小規模建築物の中では安い |
工期 |
短期 | 長期(設計によって異なる) | 短期 |
デザイン |
シンプルで機能性を重視したデザイン 形状は選択幅が少ない |
用途や好みによって素材・形状を選ぶことが可能 | 規格に合わせて組み立てる工法 デザインの自由度はあまり無い |
耐久性 |
グレードごとに遮音・断熱の材料(外壁内側)が用意されている 高い耐久性を持つ部材を使用することで、強風地域・積雪地にも対応可能 |
もっとも耐久性を追求できる | 外壁は耐久性が高いが、屋根材の耐久度が低い傾向がある |
「システム建築」「在来工法(鉄骨造)」「プレハブ工法」3つを比較したところ、もっともバランスが良いのがシステム建築です。寿命が30年以上あり、価格は在来工法の3分の2程度。軽量かつ高い強度のフレームを使用することで、柱を最大60mまで設置しない「無柱空間」を実現できます。形状の選択幅は在来工法と比べると少なめですが、シンプルで機能美のあるデザインが選択可能。耐久性は留め具を最適なものにすることで、強風地域や積雪地でも対応できるので安心です。システム建築は、屋内スポーツ施設の建設に向いているといえるでしょう。
システム建築は低コストで高性能な屋内スポーツ施設を作れる点が魅力です。標準化された建設ユニットは安定した性能が必要な建物にピッタリなのです。また、商品やグレードによっては自然の脅威にも強い建物になります。施設を建設するエリアによって、耐風や耐雪などに対応できるかも重要視されるポイントでしょう。在来工法に比べ安価ながら、品質・性能ともにバランスの良い施設の建設が可能です。
低コストながら遮音性・断熱性に優れる
システム建築のメリットは、コストが在来工法に比べ低いこと。一般的に、同規模であれば三分の二ほどの価格で施工可能です。商品のグレードによりますが、遮音性や断熱性に優れているシステム建築も。運動をする人だけでなく、観客のことを考えてもこうした性能は欠かせません。
形状の選択肢が少ない
標準化された部材やユニットを使用して建てられるため、建物の選択肢は少ない傾向にあります。しかし、商品によってはセミオーダーを受けてつけていることも。限られた選択肢を組み合わせることで独自性を出すことが可能です。
自由度の高さが魅力の在来工法ですが、工期や費用がかかります。希望する性能が多いほど、比例してコストが増大していくのが特徴です。また、デザインにこだわる場合はより費用がかかります。望む外観や内装にできるメリットはありますが、限られた予算内での建設となるでしょうから、どう折り合いをつけるのかが課題といえるでしょう。
耐久性をとことん追求できる
在来工法は、使用する建材や部材の品質をとことん追求できます。それにより、最大限に耐久性を高めることができるでしょう。人が動き回るスポーツ施設に耐久性は不可欠。高い安全性を求めるのであれば、在来工法で建築するのが良いでしょう。
コストがかかる
耐久性をはじめ、デザインや形状などを自由に設計できる在来工法は、その分コストがかかります。また、建設規模が大きくなればなるほど、工期も長期化してしまうのが悩ましいところです。
フットサル場のような中規模の屋内スポーツ施設としてプレハブ工法を採用する場合、暑さへの対策が必要でしょう。また、騒音対策も欠かせません。プレハブ工法のスポーツ施設は、商品選びが肝となります。
小規模であれば安価
あまり規模が大きくない施設であれば、安価に建設できます。コンクリート系や鉄骨系などのプレハブ工法であれば、多少の騒音や熱などは問題ないかもしれません。
耐久性が低い傾向にある
外壁の耐久性に問題はありませんが、屋根の耐久性がやや低いと言われています。風が強い地域や雪が積もる地域では、プレハブ工法のスポーツ施設はやや不向きかもしれません。
システム建築で建設された、屋内スポーツ施設の施工例をまとめています。事前に施工事例をチェックして、いざ建てるとなったときにスムーズに計画を進められるようにしましょう。
特殊設計&太陽光&断熱で、エコで快適な施設に
兵庫県にあるアイススケート場です。利用者の使いやすさはもちろん、屋上には太陽光パネルを設置、外壁には断熱・遮音に優れた「KB205」「KB225」を使用するなどの工夫で、光熱費の削減も成功させました。建設地には厳しい整備指針があったのですが、JFEシビルの柔軟な対応で叶えています。基礎システムには柱と杭を一体化した、「いちいち基礎工法」を採用。基礎梁と杭本数を減らすことで短工期での建設も実現しました。
施工事例の概要
同社のシステム建築のメタルビル建築は、アイススケートリンクやバッティングセンターを建築してきた実績があります。用途に合わせて規格を細かく調整できるJFEシビルでは、特殊な設備を搭載するスポーツ施設にも柔軟に対応できるのが特徴です。多目的スポーツ施設も対象ですが、用途の限られたスポーツ施設の建設にも適しています。
JFEシビルは、多面的な事業を手掛けるJFEグループの総合建設会社です。事業主として育んだノウハウを建設に活かし、依頼主と同じ目線に立った、きめ細やかなサービスを提供しています。システム建築メーカー直営の建設会社なので、高品質・低コスト・長期的な安全…といったワンランク上の建築が期待できるでしょう。
また一般的な建築物は地震による振動が建物に直接伝わり激しい揺れを感じますが、JFEシビルのシステム建築は免震装置を設けているため、ゆっくりと平行に揺れるのが特徴。耐震性の高さはもちろん、免震性能にも優れています。
2階建て事務所と天井高スポーツ施設を実現
ボルダリングとスカッシュが楽しめる施設です。入口から入って奥側にボルダリングエリアとスカッシュエリアを配置、手前には事務所スペースを確保するつくりになっています。スポーツを楽しむ部分は天井の高い開放感のある空間に、事務所部分は2階建てにして上手くスペースを活用。見た目は簡素ですが、大会が行なわれることもある本格的な施設に仕上がりました。
施工事例の概要
同社のシステム建築は、これまでにテニスのラフコートや、アイススケートリンク、体操競技施設などを建築してきた実績があります。スポーツ施設・設備もそれまでの多目的施設に留まらず、スポーツ毎に特化した仕様が求められるケースも増えてきており、他のシステム建築構造物同様に細かな配慮が必要となります。横河システム建築のスポーツ施設は、その実績から完成形をイメージしやすいでしょう。
システム建築をコア事業として、これまで全国に約9,300棟以上の建物を手がけています。お客様のニーズに合わせて高品質で低コスト、短工期を実現する自社ブランド「yess建築」を採用しており、全国1,100社以上の販売施工代理店を通して提供しています。
また、「社会公共への奉仕と健全経営」を基本理念とし、誠実できめ細かい対応も徹底しています。屋根や大きな扉の開閉技術や太陽光システムにも携わっており、いち早く最新技術を提供してもらえる点にも期待できるでしょう。
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屋内スポーツ施設の中でも、近年重要が高まってきているフットサル場の建設の流れについて解説しています。フットサル場の運営をするうえで大事なことなので、チェックしてください。
フットサル場を建設する際は、用途地域を確認する必要があります。用途地域とは都市計画法による地域地区のひとつで、用途の混在を防ぐことを目的として定められています。住居専用地域や工業専用地域にあたると、フットサル場を建設することはできません。用途別フットサル施設建設制限は以下のとおりです。
用途別フットサル施設建設制限
フットサル施設を建てられる用途地域と、建築可否は以下になります。
土地は市街地である必要はありません。郊外地であり、近隣に住宅がなく「ホイッスルの音・車・大声といった騒音」、「照明の光もれ」によるクレームが少ないところであればOKです。
建設する土地の目途が立ったら、次はフットサル場のコートの素材選びが必要となります。主なフットサルコートの種類は以下のとおりです。
人工芝は屋外用のフットサル場で使用されるケースが多く、3種類から選ぶことができます。
ロングパイル人工芝
芝が長くなっており、天然芝に近い感触になっている人工芝です。クッション性に優れているのが特徴で、転倒しても怪我をしづらく足への負担も軽くなっています。
ショートパイル人工芝
芝の長さが短く、ボールが弾みスピードが速くなるのが特徴です。ロングバイル人工芝と比べると、足への負担は大きめ。経験のある人におすすめの人工芝です。
砂入り人工芝
テニスコートと併用しているフットサル場で利用されるケースが多いです。滑りやすく、ケガをしやすくなっています。
約25~30cmの正方形の衝撃吸収タイルを敷き詰めたスポーツタイル。国際試合で使用されています。
学校の体育館のような木の床です。フットサルが行なわれているコートで、もっとも利用されているといえるでしょう。
カーペットは利用されているケースは少ないですが、人工芝に近くなっています。
スポーツ用の床材で、スポーツタイルと似たような衝撃吸収性を持っている塩ビ長尺シート。室内専門で行われフットサル場でよく使用されています。
フットサルコートの運営は、長期的に安定した収入を確保できるメリットがあります。所得税や相続税といった、節税対策にも。システム建築は、コストを抑えてフットサル場を建設することが可能です。ビジネスとして運営するためには始めやすいといえるでしょう。
さまざまな遊休地の活用方法が人気を集めるなか、最近ではフットサル場の建設も選択肢に挙がっているようです。初期投資が少なく、3~6年で回収できるとされていることから、ローリスクな投資として注目されています。
スクールやレンタルによって、安定的な事業収益が期待できるフットサル場。スポーツを通した仲間づくり、心身の成長など、地域・社会貢献にも繋がります。
フットサルと似たスポーツであるサッカーをはじめ、テニスや運動教室など、他のスポーツでも利用可能です。曜日によって異なる貸し出しを行なうことで、土地の稼働率と共に収益を上げることができます。
建築できる建物が限定される市街化調整区域でも、フットサル場を建設することができます。また商業施設・ビルの屋上への新設も可能。活用が難しい土地を有効活用することで、節税効果も期待できます。
土地の上に建物を建設するというよりも、土地を少し整えるだけで利用できるフットサル場は、解体コストが低く抑えられます。そのため、マンションやビルを建設する前の暫定利用も可能です。
福岡県福岡市南区にスカッシュとボルダリングのトレーニングができるスポーツジムを、システム建築で建設した事例です。奥行14mの室内無柱空間で、柱間隔は計24.6m。建物手前側の張り出し部分はエントランスと事務所エリアで、広々とした2階建てとなっています。yess建築のカスタムタイプは柱ピッチや柱間隔がミリ単位で調節できるため、より自由な空間を実現できます。
日本財団パラリンピックサポートセンターのパラスポーツ専用体育館も、システム建築を採用しています。無柱スパン47.3m・奥行42.4mのワイドスパンな室内無柱空間で、その広さはなんとバスケットボールコートが2面入るほど。エントランス内は間仕切りされており、管理事務所やシャワー室付き更衣室、会議室やトレーニングルームを配置しています。
タイル調の特殊外装とVリブウォールを組み合わせた、ツートンカラーのインドアテニススクール。延長41m・奥行36mでテニスコートが2面入るほどの広さを確保しています。もちろん、テニスコートは無柱構造になっており、採光用の大型の窓と高さ3mの軽量手動シャッターも配置。弧を描いて飛ぶテニスボールをイメージして、パラペットの天面はカーブ形状にされています。
真っ白な外観が美しい屋内アイススケートリンクは、幅48m・長さ66m・高さ9mの大空間です。大規模な建物に適したルーフは、独自の二重ハゼ工法で高い水密性能を実現。滑らかな外壁は意匠性・耐火性に優れているうえ、非常に高い断熱性能を有しており、室温が下がりやすいアイススケートリンクに適した外壁と言えるでしょう。
yess建築にて建設されたインドアテニススクール。シャンパンゴールドとアッシュグレーの組み合わせが目を引きます。システム建築のなかでも特に自由度の高いyess建築「カスタムシリーズ」を採用し、幅34m・長さ40.5m・高さ8.6mで、テニスコート2面とハーフコート1面が収まるほどの無柱空間を実現。スーパーラピッドで確立された仕様をベースとしており、在来工法に比べて短工期・低コストを叶えています。